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通貨危機、債券危機、その時ドルが死ぬ:ピーター・シフ
2020年5月25日

ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、米ドルの終末シナリオを語り、それに備えるための投資推奨に言及している。


金は安全資産であり、銀もそうだ。
現時点で、銀は信じられないほどお買い得だ。・・・
銀は金との比較において最も安い価格になっている。

シフ氏がKITCO Newsで、金・銀への投資を奨めている。
もっとも、貴金属の販売は同氏の本業でもあるから、適度に眉に唾をつけて聞くべきなのだろう。

「ほとんどのアメリカ人はインフレ税で全部持っていかれるだろう。
この政府はタダではない。
信じられないほどの政府の規模拡大のコストを誰かが払わなければならない。
誰かがすべての救済・刺激策のつけを払わなければならない。」

リバタリアン的な政治信条のシフ氏からすれば、コロナ・ショックでの米政府・FRBの救済策は過剰と見えるのだろう。
こうした不人気な主張は今の米国の主流ではない。
ただ、助けるべきとしながらも、財政・金融面での後始末を心配する人が少なくないのも事実だ。

仮に増税しないなら、インフレで賄うしかない。
それはタダですんだことを意味しない。
預金だろうが債権だろうが他のフィクストインカム投資だろうがインカム志向の投資だろうが、インカムが米ドル建てのものを保有する愚かな人たちはみんな苦しむことになる。
働いて給料をドルでもらっている人も苦しむことになる。

ケインズを引くまでもなく、奇跡的な経済成長を見込めないなら、国家債務の膨張は増税またはインフレによって対処せざるをえなくなる。
増税がなくてすんだからといって、国民の実質的負担が軽減されるわけではない。
そして、インフレ税とは一部の資産クラスに対してことさら厳しく当たる傾向がある。
このためある人は株式を奨め、シフ氏は貴金属を奨めるのだ。

シフ氏という人物を評価するのは難しい。
極めて理路整然とした主張をするかと思うと、その結論は常に自社の商売に都合のよい内容に行き着く。
そのシフ氏は、米ドルが「勝利を望まれない底辺への競争に勝利する」と予想している。
すべての通貨が価値を下げているとしながら、今後ドルが最も大きく下げると予想する。
ドルが準備通貨の地位を失うという大転換を予想するからだ。
最大の準備通貨という地位を失うことで、これまで享受してきたハシゴが外れるのだという。
ちなみに、ドルの次の準備通貨は金に回帰するのだというから、シフ氏の商売は大繁盛だ。

「すべての米市民は、ドルが準備通貨であることの上でライフスタイルや生活水準を作り上げてきた。
米国は何もないところからドルを生み出し、それを使って自国が生産しないすべてのものを買っている。
自分たちの貯蓄でないお金を借り続けることができ、コストは諸外国に押し付けてきた。」

米ドルが圧倒的な準備通貨であるがゆえに米国は莫大なシニョレッジを得てきた。
貿易収支が赤字を続けても、ドルを発行し続ければつじつまを合わせることができた。
これは、世界の人々が米ドルと米国債への信認を持ち続けるかぎり続く。

もちろんシフ氏は終わりが近いと考えている。

それが問題なくやれると米国は考えているが、そうではない。
宴の終わりを告げるのは通貨危機であり、それはまた債券危機になる。
その時には、ドルが死ぬ。

シフ氏は、その時が来る前に備えをしておく必要があるという。
米ドルが一番下げると予想するから、アメリカ人が一番準備すべきと促す。
そして、リスク許容度に応じて推奨を述べている。

「何をやっているのか理解しているなら、金鉱株、特に中小型の金鉱株こそ最大のアップサイドのある投機資金の受け皿だ。・・・
より保守的な投資家には、現物の金・銀のほかに、米国より健全な経済を有し通貨を破壊していない国々への投資を奨める。」

金・銀は投資するにしても、資産のごく一部の話だろう。
それは以前シフ氏も言っていた
では、諸外国では何が狙い目なのだろう。
シフ氏はコロナ・ショックで下げた配当株にバーゲンが見られるという。
同氏はましな国としてシンガポール、香港、ニュージーランド、スイス、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリアを挙げた。


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