ハワード・マークス
 

通常のリスク・テイクの感覚を持て:ハワード・マークス

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、投資家に通常よりリスク・テイクを減らすよう奨めている。


私は現在がバブルとは思っていない。
状況がばかげているとは思わないが、とても前向きなサイクルの進んだ局面にあると考えている。

マークス氏がBloombergに、現在はバブルではないとの見方を語った。
バブルかどうかは多分に定義の問題でもあるが、マークス氏の脳裏には2つのポイントがあるようだ。
1つ目は世界的な低金利が効いていること。

「景気拡大・強気相場が10-11年続いたからといって(終わりが)始まるとはいえない。
・・・特に低金利の下、機関投資家は大きなリターンを必要とし、積極的にリスク資産、オルタナティブ資産を求めている。
そうせざるをえないんだ。」

もちろん低金利自体がバブルという議論も存在する。
しかし、原因はともあれ現状の低金利がある程度続くと想定するなら、現時点で低金利がもたらす資産価格上昇をバブルということに実利的な意味はないのかもしれない。
中期的に持続可能なバブルなら、それをバブルと呼ぶ意味はさほど大きくない。

マークス氏がもう1つ言及したのは、投資家らのバブル的行動である。

私は人生で何度かバブルを経験してきて、いくつかバブル的行動を見てきた。
・・・
50年前のニフティ・フィフティ、20年前のテクノロジー株でもこう言われた:
『〇〇のメリットは極めて大きく、価格が高くなりすぎることは起こりえない。』
あきらかにこれは不合理だ。

過去のバブルと比べると、確かに投資家は慎重であり、根拠なき熱狂とは程遠い。
これは多くの投資家、経済学者が指摘してきた点でもある。

マークス氏は、弱気相場への転換点の見つけ方を尋ねられると、その難しさを語った。
現在は、かつてなく不確実性の高い時代で、過去の経験則がそれほど役に立たない可能性があるのだという。


歴史的に『今回は違う』という言葉は、過去うまくいかなかった強気や、バリュエーションなど過去優勢だった規則性に対する違反を合理化するために用いられる。
でも、ジョン・テンプルトンは『20%の場合は本当に違う』とも言っている。

マークス氏は現在を「難しい時代」と表現する。
そう断りを入れた上で、転換点の見つけ方を話した。

「すべてのトレンドを見る必要があり、特に私が『プロ・リスク行動』と呼ぶものを見るべきだ。
人々が資産を、そうしなければいけないと感じて、リスク資産に投じることだ。」

Bloombergキャスターはすでに世界にはそうした行動が満ちていると主張する。
マークス氏もその可能性が高いとするが、そこで投資家に話すべき言葉は「逃げ出すべき時期だ」ではないと釘を刺す。
同氏が考える正しい言い方はこうだ:

『現在これまで議論してきたすべて、両方の議論を勘案すると、あなたはいつもよりリスクを多くとるべきか、少なくすべきか?』
投資家はみな、あるべき通常のリスクへの姿勢について感覚を持って欲しい。
問題は、今あなたがリスク・テイクを増やすべきか、減らすべきかだ。

投資家はそれぞれ異なる状況の中で投資をしている。
一律に買いや売りを奨めるのは、そうした違いを無視した間違った推奨だ。
あくまで、個々の投資家に固有の通常あるべきリスク・テイク(その投資家にとってのベースライン)に対する相対的な変化として推奨を述べるべきだというのだ。
では、その相対的な変化とはどうあるべきなのか。

私が自信をもって言えるのは、議論してきた理由によって、現在が通常よりリスクを減らすべき時にあるということ。
特に、今は積極的(な投資姿勢)であるべき時期ではない。


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