債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、株式市場と債券市場の異なる方向性を指摘している。
どちらが正しいかで、今後の市場環境は大きく変わってくる。
FRB声明、ドット・プロット、プレス・リリースはすべて水曜日に精査された。
株の弱気相場は大きく巻き戻した。
しかし、債券は利下げを求め叫び続けている。
ガンドラック氏が昨晩ツイートした。
あまりメッセージが明確でない。
そこで、この半年あまりの米市場を回顧してみよう。
S&P 500指数(青)と米10年債利回り(赤)
2018年は2度大きなショックが市場を襲った年だった。
1月末からの調整の傷が癒えた9月末頃、2度目のショックが襲った。
FRBがタカ派的なスタンスを継続したことで、長期金利が3%を超えて上昇、株式市場が調整したのだ。
これはFRBがハト派的なメッセージを発信し市場の悲観を拭い去るまで続いた。
ようやくクリスマス頃から株式市場は反転し、その後順調に上昇した。
5月にはトランプ政権の通商政策が市場の重しとなった。
株式は調整したが、水曜日を底に回復の兆しを見せている。
問題はその間の米国債市場だ。
10年債利回りは昨年10月から低下を続けている。
株式市場は弱気、強気、弱気、強気と方向を変えてきたのに対し、債券はただただ買われてきた(=利回りは低下)のである。
株式は強気に戻ったように見えるのに、債券は、経済に対して弱気の見方を続けている。
株式市場と債券市場が正反対の想定をしているように見えるのである。
いったいどちらが正しいのか、
1つの目安はFRBの政策金利だろう。
FRBが経済のファンダメンタルズを重視してFF金利を決めるのなら、彼らが指し示す金利は(後追いではあるが)正解の水準を暗示してくれるはずだ。
CME FedWatchツールで計算されたFF金利実現確率を見てみよう。
FF金利 | 6月19日 | 7月31日 | 12月11日 |
100-125bp | – | – | 2.7% |
125-150 | – | – | 17.7 |
150-175 | – | – | 37.6 |
175-200 | – | 19.5% | 31.1 |
200-225 | 23.3% | 68.0 | 9.9 |
225-250(現在) | 76.7 | 12.5 | 1.0 |
債券市場は年内に50-75 bp程度の利下げを見込んでいる。
実際の利下げ幅がこれよりかなり小さくなるなら、債券は下落しやすくなる。
それは、債券市場の悲観が行きすぎとの暗示であり、株式市場の痛手は大きくないかもしれない。
(それでも金利上昇の悪影響はありうる。)
実際の利下げが債券市場の読み通りなら、債券市場に動揺は走らない。
一方で、株式市場が考えていたよりも景気の先行きに不安があるとして、株式市場にブレーキがかかるかもしれない。
金利が低いことが救いになるものの、こちらのシナリオは景気後退入りを暗示しているようにも思えるので要注意だ。