海外経済 投資

逃げ足の速いはずのPIMCOはまだ強気
2019年1月8日

債券ファンド世界大手PIMCOがフィクスト・インカムの中でプライベート市場への投資を奨めている。
プライベート市場が何かと読み進むと、どうやらレバレッジド・ローンなどの市場を言っているようで危なっかしい。


グローバル投資やグローバル・ポートフォリオを検討する際には、3-5年のうちに景気後退入りする可能性を許容しないといけない。

PIMCOのマーク・サイドナー氏の講演会での発言をBloombergが伝えている。
PIMCOによれば、今後5年以内に世界経済が景気後退入りする確率は70%だという。
5年で70%とは、現在の市場の怯え方と比べるとずいぶんのんびりした話ではないか。
ファンダメンタルズを重視するスタイルの投資家は、特に米景気に対して依然として極めて強気の見方をしている。
PIMCOの「5年で70%」もそうしたある意味冷静な見方なのだが、話が市場環境になると、そう強気でもいられないようだ。

「量的緩和とは、すべての資産を押し上げる上げ潮だった。」

サイドナー氏は、量的緩和政策の資産価格への強大な効果を指摘し、その巻き戻しにおける不透明感を心配する。
資産価格が高位にある中でボラティリティは上昇、景気とは別に市場が荒れ模様になる可能性は否定できない。

「金融政策とその巻き戻しの時期が来うる点において、現在の環境と類似する過去を探そうとしても見つからない。」

過去を紐解いても類似の時期が見当たらない。
驚くことではない。
最近、市場関係者がさかんに引用するマーク・トウェインの言葉:
《歴史は繰り返さない。韻を踏むだけだ。》
のとおり、全く同じことは繰返さない。
強いて言うなら、レイ・ダリオ氏は現在が1937年に似ていると指摘している。

量的緩和が本当に資産価格を押し上げたなら、逆もまた真なりだ。
巻き戻しの中で投資難が続くと考えるのは自然な発想だろう。
価格下落に強いと考えられがちなフィクスト・インカム市場も例外ではない。
低金利、魅力に欠ける信用スプレッド、フラットなイールド・カーブと、投資家の取り分は満足のいくものになりにくい。
そこでサイドナー氏が見いだしたのがプライベート市場だ。

「プライベート市場でのチャンスは引き続き拡大するだろう。
私たちは、この市場が投資家にとってとても重要で高収益で実り多い分野だと考えている。
5-6%ではなく、10、11、12%のリターンが得られる。」

危ない、危ない。
公開市場が魅力薄で、未公開市場に魅力があるという話は、素人が単純に受け取るべき話ではない。
解釈は大きく2つ。

  • 何らかの理由で未公開市場にアクセスできる投資家が限られ、アクセスできる投資家は恩恵を得られる。
  • 公開市場とは異なり、価格の透明性・妥当性に問題がある。

PIMCOのような業界トップであれば、前者のような特権的投資家になれるのだろう。
一般投資家はそうはいかない。
後者、言い方は悪いが《カス》をつかまされることになりかねない。

サイドナー氏は、ハーバード大学寄付基金とPIMCOにおいてモハメド・エラリアン氏とともに働いた人物。
そのエラリアン氏はサブプライム危機の前、CEOとしてPIMCOを率いた人物だ。
その時に直面したプライベート市場は、信用度の低い住宅ローン債権の市場だった。
危機の1年半前から他の投資家に悟られることのないよう静かにリスク軽減を進めたと話している。
クジラが市場から去る時は、ゆっくりと長い時間をかけなければならないのだ。

サイドナー氏によれば、まだレバレッジド・ローンのような投資対象に投資できるという。
それは、景気後退入りの時期について5年で70%の確率と言うように、まだまだ先と見ているからだろう。


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