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追加の小切手が熱狂に油を注ぐ:ジェフリー・ガンドラック
2021年3月5日

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、行動ファイナンス的な観点から、金融・財政政策が熱狂を生み出すプロセスを説明している。


私はとてもギャンブルが嫌いだ。
なんでみんなカジノに行くんだろう。
ほぼ負けが保証されていることをやるなんて。

ガンドラック氏があるインタービューで、自身のギャンブル嫌いを明言した。

(ディストレストの投資家を別とすれば)債券投資家がギャンブル嫌いなのはある意味当然に響く。
仮に、ギャンブルが大好きな債券投資家がいたとして、そういう人が運用する債券投資信託を買う気にはなれないだろう。

ガンドラック氏は、カジノと株式市場を行動ファイナンス的な視点から考察している。
なぜ、人々はギャンブルにのめり込みやすいのか。

ギャンブルが狡猾な性質を強めている1つの要因は、何度か勝って儲かると、人はどんどん向こう見ずになっていく点だ。
彼らは、カジノのお金で遊んでいるつもりになってしまう。
負けても自分のお金でないと思い、どんどん向こう見ずになり、オッズを増やす傾向がある。

100ドルを握りしめてカジノにいって、幸い3倍の300ドルに増えたとする。
儲かった200ドルは自分のお金じゃない、カジノのお金、あぶく銭と考えて、盛大に掛け金を増やしてしまう。
最初は10ドルずつ賭けていたのに、30ドル、50ドルと増やしていってしまう。
損をし始めれば、あっというまに持っていかれてしまうが、一度踏み込んだアクセルは容易に元に戻せないのも人情だ。

ガンドラック氏は、これと同じことが株式市場で起こっているという。
しかも、今回は全員が最初からあぶく銭を持たされている。
つらいことに耐えながら仕事で稼いだお金以外のお金だ。

これと同じことが、政府の刺激策によって図らずして起こっていると考えている。
12月に600ドル(給付金)を受け取ったが、これは降ってわいたようなお金だ。・・・
これは政府が買ってくれた株だ。・・・
それがギャンブルの心理に引き込んでしまう。

給付金だけでなく、金融環境まで「ギャンブルの心理」を後押ししている。
ガンドラック氏は、米国株市場のバリュエーションについていくつか指摘する。

  • 「多くの株価評価指標で見て、米国株市場は過去最高値圏」。
  • 利回りで見て、株式は債券との比較で割安。
  • 「株式は平均的に値付けされているわけではな」く、銘柄によって高低がある。

ガンドラック氏は、金融政策によって市場が歪められており、株式が有利に見える環境になっていると指摘。
CAPEレシオは市場2番目に並ぶ高さなのに、米国債との比較では過去平均以下になるという。

CAPEレシオの代表的提唱者であるロバート・シラー教授は昨年10月の論文の中で「超過CAPE利回り」と呼ぶ指標を提案している。
これは、CAPEベースの益回りの10年債実質利回りに対するイールド・スプレッドのことだ。
新たな指標を提案した1つの理由は、CAPEやPERが明示的に金利の影響を織り込んでいない点にあるのだろう。
超低金利なら株価倍率は高くてもよいはず、という理論的にも正しい主張を無視しておけなかったのだ。
シラー教授は、大きな超過CAPE利回りが「決定的に投資家の選好を株式に向かわせ」たとの解釈を示している。

ガンドラック氏のインタビューは2月17日に行われた。
同日の米10年債利回りは1.29%、S&P 500は3,931.33。
3月3日はそれぞれ1.47%(対17日比0.18%ポイント上昇)、3,819.72(同2.8%下落)。
今回は、主に金利が上昇することによって株式・債券間の歪みが調整されたようだ。
もっとも、これで歪みが是正されたと考える人は少ない。
多くの人が、タイミングは別として、米長期金利の上昇を予想している。

金融政策は相変わらず拡張的だ。
財政政策は近々追加刺激策が出てくるようだ。

金利の押し下げは、政府のお金というカジノの心理を生み出した。
連鎖的なイベントを介し、高バリュエーションにつながった。
私はそうなってほしくないが、もしも今後6週間で1人1,400ドルの小切手が送られるなら、さらにこの強気の熱狂が強まり続くと考えざるをえない。


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