JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOが、米経済に極めて強気なシナリオを示しながら、同時にいくつかリスク・シナリオを呈示している。
過剰貯蓄・新たな刺激策による貯蓄・莫大な財政赤字による支出・QE強化・新たに提案されるであろうインフラ法案・ワクチン接種の成功・パンデミック終了にかかわる熱狂により、米経済が好況を迎えるであろうことはほとんど疑いの余地がない。
すべての支出は2023年まで続くと見込まれることから、この好況は容易に2023年まで継続するだろう。
ダイモン氏が株主宛て書簡で、米国が少なくとも2023年まで好景気を継続すると強く予想した。
そう考える材料をいくつか挙げている:
- 金融・財政政策: リーマン危機後をはるかに上回る規模。
第二次大戦時の財政赤字はこの2年より大きなペースだったが、戦費であったため持続的インフレとはならなかった。
(今回は国内の消費などに多く使われると言いたのだろう。) - レバレッジ: サブプライム/リーマン危機前と比べ消費者・企業・金融機関・投資家のバランスシートは改善。
- 株式バリュエーション: かなりの高水準だが、数年の好景気で正当化されうる。
過剰流動性も高バリュエーションを支える材料になりうる。
一方でダイモン氏は、予想する「好況シナリオ」を前提とすれば、現状の債券価格を正当化するのが難しいという。
2つの理由を挙げている:
- 財政赤字の結果、大量の米国債が発行されるが、消化には外国投資家の買いが必要。
- 持続的なインフレが発生する可能性。
こうした心配材料が顕在化しない「ゴルディロックス」もありうるとダイモン氏は言う。
一方で不幸なシナリオも2つ呈示する:
- コロナ変異種により経済・市場が打撃を受け金利が低下。
- インフレの上昇が予想より速く、FRBが利上げを迫られる。
ダイモン氏は、政府に対して(インフラなど)財政支出における高い規律を求めている。
大規模な支出が必要なことには同意せざるをえないにしても、結果として進む政府財政の悪化には心安からぬところがあるのだろう。
これは、皆が恐れる、予想より早いFRB利上げをさらに過酷なものにしうる。
刺激策の多くは、経済がかなり良い時にまさに打たれることになるかもしれない。・・・
インフレになる場合、財政・金融政策が逆方向を向くかもしれない。
ポール・ボルカーが土曜の夜、効果的に200 bp利上げしたのを覚えている。
またこの場合、米債務の利払費が急激に上昇し、状況が少し悪化する。
金利急騰が経済の過熱を打ち消すのは典型的な景気後退の原因だ。
もう1つの悪い点: この場合、米財政赤字がすでに高水準の中で景気後退入りすることになる。