投資

足に落として痛かったら買い:デニス・ガートマン
2021年4月12日

デニス・ガートマン氏が、現在有望と見ているセクターを列挙する一方、若い世代の銘柄選択の傾向について遠回しに危機感を示している。


「私はハイテク株に否定的で、前向きでないと見られてきた。
私は、足に落とした時に痛いものが好きで、それで有名だ。
鉄鋼、タイヤ、海運、鉄道など、私が知っているセクターだ。」

ガートマン氏がBloombergで8日、投資における信条を語っている。
同氏はこれまで何度も同じことを語っている。
足に落ちたら痛いもの、とはガートマン氏が実感をもって理解できるものを指しているのだ。

「私が数えることができるのは、鉄鋼の生産量・輸出量、船舶の動き、鉄道の動き、コンテナ、タイヤ、ボールベアリングなどだ。
何が起こっているか、過去どうだったかが数えられれば、先行きの予想が立てられる。
国内・世界の経済が続く限り、これらの株式は良いパフォーマンスを上げるだろうし、配当も出すだろう。
70歳の私は、自分が理解でき、先行き配当・インカムをくれるものを物色している。」

ガートマン氏は、ここで挙がった他に銅鉱山も挙げている。
共通するのは理解しやすく、景気回復の恩恵を受けやすいセクターだ。

理解できるものに投資しろとのメッセージは、ウォーレン・バフェット氏、ジム・ロジャーズ氏など多くの成功した投資家が言い続けていることだ。
そのメッセージには相応の説得力がある。
しかし、世の中では、多くの理解困難な投資対象が良好なパフォーマンスを上げているのも事実である。

ガートマン氏は、その点を理解し、そうした対象への熱狂はやまないと達観している。

「先週アルケゴスの件で市場心理が傷つくと、現在、テック株でうまくいっていた人たちが莫大な損失に苦しんでいる。
でも、彼らは戻ってくるのをやめないだろう。
自分の勝ち組に乗り続けろ。
トレーディングにおける私の第一のルールは、うまくいっているものを増やし、そうでないものを減らせというもの。
これは人生でもトレーディングでも言えることだ。」

投資に絶対の正解はない。
さまざまな投資のスタイルがあり、あとは好みの問題だ。

ガートマン氏は、自分の好みの背景を話す。

「1960年代に出された株式市場のトレーディングについての偉大な本があった。
素晴らしい説とは、子供のようになれ、というもの。
若者や若い世代はハイテクで何が起こっているか理解する、というものだった。
でも、私は理解していない。
それに気づき、理解し、世代による変化を知り、自分の得意・不得意を知った。」

ガートマン氏にとっての無知の知の瞬間であろう。
しかし、問題はそう簡単ではない。
なぜなら、ハイテク分野の技術をきちんと理解してトレードしている人がいったいどれだけいるのか甚だ疑問に感じられるからだ。
高々表面的な事業モデル、絵にかいただけの財務計画で知ったつもりになっている人は少なくない。

ガートマン氏はハイテク株の投資家を批判したり、警告したりはしない。
ただ、言葉の端々に、危うく感じていることが表れている。

「市場の若い人たちはみんなハイテク株をトレードしているが、単純に私は理解していないし、することもないだろう。・・・
私はスカイプやズームが今日実現したことに驚いているが、その仕組みがどうなっているか理解していない。
それでも(それらサービスは)機能していて、他の人たちはトレードしている。
神の御加護を。」

ガートマン氏は、銘柄選択において、世代間に大きな変化があったと指摘している。

明言はしていないが、若い世代はわからないものにも投資すると言いたいのだろう。
皮肉なことに、そのやり方が少なくとも今までは大成功を収めている。
(思えば2000年もそうだった。)
わからないものの1つは暗号資産だろう。
みんなキーワードこそ盛んに口にし、褒めそやすが、中身や限界を理解している人は稀有だ。

ガートマン氏は、ビットコインやイーサリアムについて、金の需要の一部を奪ったと指摘し、この傾向が続くと予想する。
自身は投資するつもりはないが、投資家のために好パフォーマンスが続くよう祈っていると述べた。
要は、関心がないのだろう。

一方、コモディティ王は、概してコモディティ相場について強気だ。
金融当局が拡張的な政策を続ける限り、右肩上がりが継続すると言い切る。
足踏みを続ける金相場についても、決して否定的にはとっていない。

私はまだ金を保有するつもりだ。
金は過去数日で上値を切り上げ、売りのほとんどが済んだように思える。
アクロン大学寄付基金委員長として、5-6週間前にインフレ・ヘッジのため初めて金のポジションを取った。

ガートマン氏によれば、委員会はたった3%でも株式から他へ資金を移すことに後ろ向きだったという。
それほど米国で株への強気心理が強いのだろう。
反対もあったが、最後にはガートマン氏が説き伏せたのだという。
今の米市場心理を象徴するような一幕だ。


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