超低金利と高齢化がもたらしたもの:リチャード・クー氏

野村総研のリチャード・クー氏が、低金利と投資の関係について解説している。
同氏が語る相反関係は、日本の置かれた厳しい状況を示唆している。


「日本の場合では、金利が極端に下がり、金持ちだけでなく金融資産を保有する人はすべてとてもディフェンシブになった。
その資金を預かる金融機関は投資において積極的なリスク・テイクができなくなった。
投資家が安全を最優先にするようになったからだ。」

クー氏が伊Ambrosettiのインタビューで、バブル崩壊後の日本で起こった投資家の心理の変化を指摘した。
日本では、バブル後の不良債権問題が解決した後になっても、リスク・テイクの鈍い状況が続いている。
日本株のバリュエーションは控えめで、地価も諸外国に比べて上げ幅が極めて小さい。

クー氏が日本で顕著と指摘した点は3つ:

  • 超低金利
  • ディフェンシブな投資家心理
  • 急速な高齢化

こうした点が、日本における信用創造の妨げになっているとクー氏は示唆する。

高齢者には、安全を最優先にしながら、金利がすでに低いためにリターンを求めるという相反する思いがある。
このために金融システムにも相反が起こっているのだと思う。

仮に金利がある程度高ければ、もう少しリスク・テイクがやりやすいのだろう。
リスク・テイクの結果、損失が出たとしても、ある程度稼げる期待リターンから埋め合わせることができるからだ。
しかし、現状のようなゼロ/マイナス金利では、リスクフリー金利での埋め合わせはありえない。
さらに、日本銀行はリスク・プレミアムを低下させようとリスク資産の買入れまで行っている。
リスク・プレミアムが人為的に圧縮されている市場に投資するのはとても難しい。
リスクに応じた報酬が得られないのだから当然だ。

金融緩和とは強化しているうちは効果があるものの、定常状態に達すると効果が低減するばかりか逆効果になりかねない。
かと言って、緩和を解除すれば短期的によりつらい痛みを被る。
こうして出口のないところに追い込まれていくのだ。


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