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資産価格が上昇する単純なワケ:ロバート・シラー
2020年7月9日

ロバート・シラー教授が、現在の市場環境について解説し、株価等を評価する上で従来の単純な見方が必ずしもそぐわないと指摘している。


(金利は)ゼロにかなり近く、異常な領域だ。
これはすべてに影響し、債券価格・住宅価格・株価が高い。
どこにも逃げ場がなく、どこかにお金を投じざるをえない。

シラー教授がBloombergで、資産価格と経済が乖離しているように見える状況について解説した。
教授が指摘したのは資産価格にプラスに働く低金利だけではない。
2つ資産価格の足を引っ張りかねない不確実性も挙げている。

  • コロナウィルスの悪影響は一時的なものか、恒久的なものか。
  • 社会的距離を取らなければいけないという心理は、それが不要になった後にも居座るか。

シラー教授は、現状30倍近辺にあるCAPEレシオについてコメントを求められると「高い」と答えた。

1881年まで遡っているが、歴史的平均は10倍台の終わりだ。
現在のCAPEは高いが、しばらく高かった。
そして2000年にはもっと高く45倍超だった。
ここからまだ上がる可能性が間違いなくある。

シラー教授が市場に向き合うスタンスはいつもスクエアだ。
今の価格が経済やモデルに比べて高いから下がるとか、低いから上がるとか言うことはない。
何らかの理屈に基づいて《市場はこうあるべき》と傲慢な意見を述べたところで、市場とは市場が決めるものでしかない。
シラー教授が語るのは主に過去と現在の事実だ。
将来について語る時、教授は常に確率分布を意識する。
上がるかもしれないし、下がるかもしれない。
(ただし、長期的な確率分布で言えば、中心値が今と同水準とは限らない。)

シラー教授は、まだ上がる可能性も十分あると語った。
では、下がる可能性とは何なのか。
教授は2点挙げている。

  • 大恐慌ナラティブ: 大恐慌以来の失業率など、人々が大恐慌を意識した。
    これが市場心理を弱気にするかもしれない。
  • 感情ヒューリスティック: 人は1つのことを恐れるとしばらくすべてのことを恐れる傾向があるという。

シラー教授は上げ要因にも下げ要因にも強さを感じているようだ。
結果、現在が「リスクの高い時期」だと感じている。
教授は、現在の市場を考えるのに過去の手法だけを用いることに危うさを感じている。

今は、過去のデータを評価するモデルが当てはまらないかもしれない、ある種危険な状況にある。
今何が起こるかについて考えるには、心理学と人類史についてのセンスを用いないといけない。


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