オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、現在の市場・資産価格について理屈っぽく解説している。
今は明らかに楽観の時代で、この楽観は私が『人為的』とよぶ方法で2020年の弱い経済に対処するFRBと財務省によって主に生み出されたものだ。
世界の経済・市場が2020年3月に崩れ落ちようとしていた時、FRBと財務省が月の半ばに政策を講じた。
マークス氏がReal Visionのインタビューで、コロナ・ショック後の資産価格について話している。
危機から脱するためにFRBと財務省が講じた政策が「人為的」な楽観を生み、資産価格を押し上げたという。
ゼロまで引き下げられた(政策)金利は深い影響を及ぼした。
リスクテイクを復活させ、FOMO(取り残される恐怖)が損をする恐怖より上回り、とても強い証券への需要につながった。
それが心配だ。
S&P 500のPERは歴史的水準より高く、リスクの高い振る舞いが広がっている。
マークス氏はゼロ金利がもたらした過度なリスクテイクが幅広い分野に見られるとし、例としてSPACの普及、GameStop騒動、小口投資家の急増、信用・オプション取引の増加などを挙げている。
同氏は、これら多くが「バブルの兆候」であると話している。
一方、マークス氏は、上昇した資産価格についてある見方の下ではリズナブルだと指摘する。
でも、金利水準との比較でいえば、ほとんどの資産バリュエーションはリズナブルな水準だと思う。・・・
(金利低下で)すべての資産のリターンに要求される率は低下する。
だから、(高い)PERは正当化され、ほとんどの資産は他の資産との間で互いに平衡状態にある。
すべてが歴史的なリターンより低いリターンで値付けされているんだ。
低金利という半ば「人為的」な前提の下で資産価格はリズナブルであり平衡状態に達している。
やはり気になるのは「人為的」な前提がいつどのように崩れるのかだろう。