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貿易戦争、技術戦争、地政学的戦争そして資本戦争:レイ・ダリオ
2019年11月16日

中国通、中国政府と親密なことで知られるレイ・ダリオ氏が、準備通貨の変遷を説明し、米中間の資本戦争の可能性を指摘した。


(準備通貨や準備通貨国の興隆と没落は)弧、長い弧を描くものなんだ。
言い換えると、米国が現在の世界の準備通貨国であり、その前は大英帝国、その前はオランダ帝国だ。
こうしたことが長い期間、100年、200年かけて起こる。

ダリオ氏がNPOでの講演で準備通貨の変遷と米中関係について語ったとBloombergが伝えている。
同氏は、歴代の準備通貨国に関する研究から、準備通貨国を形成するいくつかの特徴を列挙した。

  • 教育と礼節
  • インフラ
  • 技術(商業・軍事・建設)
  • GDP成長
  • 世界貿易におけるシェア(通商・資源を守るための軍事力)
  • 金融ハブ(アムステルダム→ロンドン→ニューヨーク→上海?)

ダリオ氏が最後の「金融ハブ」のところで上海に言及したところが印象的だ。
(時期はともあれ)中国が次の主要準備通貨国になると予想しているのであろう。

ダリオ氏のリストでは順序に意味合いを持たせてあるようだ。
「教育と礼節」から始まって「金融ハブ」に至る。

「これにより準備通貨が発達していく。
準備通貨とは、共通の通貨・共通の為替レートとして機能する媒体だからだ。」

こうして準備通貨が出来上がると、当然の帰結として準備通貨国は債務国になっていくとダリオ氏は指摘し、それを「運命」と称している。

みんな準備通貨で貯蓄することを望み、それを貸そうとする。
結果、準備通貨国が借金を増やすことになる。
(債務拡大により)経済は過剰に拡大する。

準備通貨国は、諸外国から安い借金をして、財・サービスを購入できる。
準備通貨を増発できれば、タダで価値のあるものを手にできるのだ。
逆に言えば、準備通貨は世界の通商の決済手段であるため、準備通貨国は世界に通貨を供給しなければならない。
世界経済が成長するなら、マネー・サプライを拡大しなければならない。
借金は増えるから、その負担を軽減するには、準備通貨が安くなることが望ましい。
しかし、1つ間違えば、それは没落への道につながりかねない。

ダリオ氏は(タイミングは語らないが)既存の準備通貨の没落と新たな準備通貨の興隆を視野に入れているのだろう。
同氏は以前、ドル相場が容易に30%下げうると発言し世間を驚かせたことがある。

ダリオ氏は、米中の対立について危機感を滲ませ、相互理解の重要性を説いた。

貿易戦争があり、テクノロジー戦争があり、地政学的な戦争があり、そして資本戦争もありうる。
これが今の環境の本質だ。・・・
戦争というルーズ-ルーズの関係ではなく、互いを互いの目で見つめ、ウィン-ウィンの関係でアプローチしてほしい。
自国が進化してきた中で身に付いた自国の観点すべてを相手国に押し付けることのないようにすべきだ。


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