ブラックロック

 

貯蓄すべき?借金を返すべき?:ブラックロック

資産運用の世界最大手BlackRockのPaul Mele氏が、余資を貯蓄すべきか、借金返済に充てるべきか論じている。
同氏の考えは概ね貯蓄に回すべきというもののようだが、果たして日本ではどうだろう。


必要なモノに出費した後、残ったお金をどうすべきだろう。
ただ使ってしまう場合を除けば、優先順位は2つだろう:
・将来のために貯蓄
・借金の返済

Mele氏が自社ブログで問いかけている。

これはなかなか一般の個人投資家の機微に触れる設問なのではないか。
株価等がもっと低位にあれば、個人投資家はリスク資産への投資を選択したかもしれない。
しかし、資産価格はそこそこ高い位置にある。
おまけに景気サイクルは終期に近づいているとの観測も多く、この先資産価格は下落するかもしれない。
リスク資産への投資で借金の支払い金利以上を稼げるのか不透明だ。

Mele氏は問いに答える前に、必ずやっておくべきことを書いている。

「財務的目標達成のためのステップを踏み始める前に、予期できないことへの備えをしておくことが重要だ。
人生で何か予期しなかったことが起こった時、非常時のための資金はあなたが脱線するのを防いでくれるだろう。」

突然の失業、災害、大病など、突如として収入が途切れたり支出が発生したりする可能性は否定できない。
そうした際に現金がなくて困ったり、無理に借金をして後の負担になれば、人生設計は台無しだ。

Mele氏は少なくとも支出の2-3か月分を非常時の備えとして持っておくべきと書いている。
その上で、貯蓄を選択すべき時の条件をいくつか挙げている。


  • 若いうちからたとえ少額でも貯蓄を始めるべき。
  • 雇用主などから補助のある金融商品があるなら検討すべき。
  • 税制上の優遇のある商品(日本ならiDeCoやNISA)を活用すべき。

一方、借金を返すべき局面とは何か。

Mele氏は借金でも内容が重要と書いている。

全ての債務は平等に造られていない。

Mele氏は、住宅ローンとクレジット・カードの借り越しなら後者をまず返済すべきと示唆する。
ここに異論はあるまい。
多くの人にとっての問題は、住宅ローンのような比較的低利なローンの返済と貯蓄のどちらを優先すべきかだろう。
この点で、日本人の悩みは深く、そして浅い。

Mele氏が前提とする米市場は2年債が2%を超える世界だ。
しかし、日本は10年債がマイナスに沈む世界だ。
投資家の悩みは深い。
住宅ローン金利が数%のレベルなら、やはりローン返済が手堅いのだろう。
その意味で、悩みは浅い。

日本で住宅ローンの金利負担を跳ね返すためには、リスク・テイクが必要だ。
仮に日本株市場のリスク・プレミアムが3-5%とすれば(長期金利をゼロとして)出来上がりのリターンは3-5%。
期待値においては住宅ローン金利を上回ることになるが、これはあくまで期待値の話にすぎない。
サイクル終期というのが本当ならなおさらだ。

おまけに日銀がETF・REITなどを買ってきた理由はリスク・プレミアム圧縮にある。
本当にこれから同プレミアムが3-5%取れるのかもわからない。
そんなこともあって、みんな借金を返したがる。
これでは金融緩和も逆効果というものだ。


 - 投資 ,