ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、米政治・経済の先行きを予想し、株式と債券の配分割合について解説している。
トランプは後戻りできない。・・・
何か選挙を動かすことをやらざるをえない。
両者が努力しており、(合意が)成立しつつあると考えている。
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、米財政政策のゆくえを予想した。
1か月後に迫った大統領選で劣勢が伝えられる大統領にとって、追加対策の見送りは考えにくいとの読みだ。
シーゲル教授は、それが意味することも解説する。
「これはプラスだが、市場に多くの流動性を供給することになる。
小切手がさらに送られ、お金がさらに配られ、財政刺激策が拡大する。」
シーゲル教授によれば、追加財政支出は経済と株式市場にとって良いこと、債券市場にとって悪いことだという。
程度はどうあれ、教授はこうした展開をコロナ・ショック初期から予見していた。
とりわけ、債券市場について強い警告を発してきた。
40年近く続いた米国債市場の強気相場が今年終焉すると言い続け、その考えは今も変わっていない。
もちろん、株式に強気の見方も変わっていない。
シーゲル教授はこのポッドキャストで、ロング・セラー『株式投資』についての質問を受けている。
早い版の中で、資産配分は株式100%にすべきと書いていたのだ。
これは現在の推奨と背反するように聞こえる。
「私は30-40年(投資する場合)を言ったのだが、たくさんの人が短期のボラティリティを心配している。
このポッドキャストでは、旧来の(株式)60:(債券)40(のポートフォリオ)を時代遅れとし、75:25の話をしている。」
配分をどうするかは、1つには投資のホライズンによる。
それと関連して、もう1つの要因は年齢だ。
シーゲル教授は、年齢層ごとの資産配分について説明した。
- 若い世代: 基本的に100%株式とすべき
「現水準では債券は誰のためにもならず、若い人たちには何の機能も与えない。・・・
若い人たちは短期のボラティリティなど気にせず、100%株式に配分し、よく分散することだ。」 - 高齢者: 債券はいくらかヘッジになる
「短期的にはマイナスのベータによるクッション、短期的にはボラティリティ(回避)になる。・・・
60:40をやめて75:25にすることだ。」
シーゲル教授は株式に強気だが、大きな下落が起こる可能性も(当然ながら)ゼロではないと見ているのだろう。
高齢者にとって、その時下げが限定される債券には意味がある。
株式の場合、理論的には株価ゼロまで失いうるからだ。
ただし、教授は、超長期の投資であれば、一度下がった株価がきっと戻ってくると考えているようだ。
実際、米市場全体で見れば、経験的にこの種の予想は100%的中してきた。
一方、債券は、超長期サイクルが金利上昇に転じるなら(特に長期債で)長い長い間、劣悪なパフォーマンスが続くことになる。
投資ホライズンが長期なら、債券は悲惨な結果になるだろう。・・・
この先経済とインフレが回復すれば債券に脅威となる。
今後、極度に劣る資産クラスとなり、下位に転落するだろう。