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財政出動が火に油を注ぐ:ジェレミー・シーゲル
2021年3月13日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、1.9兆ドルの米財政出動を「火に油を注ぐ」と形容している。


昨晩、今年初めてレストランの屋内で食事をしたよ。
そうする人がどんどん増えている。
とてもいい気持ちだった。

シーゲル教授がCNBCで、米経済の再始動が本格化しつつあることをうかがわせるエピソードを語った。
これまでコロナ対策に努めてきた教授だから、ワクチン接種を終えたということなのだろう。
日本人の想像以上に、米国ではワクチン接種が順調に進んでいるのかもしれない。

「(1.9兆ドルの刺激策は)いわゆる『火に油を注ぐ』以上の効果だ。・・・
今回の(財政支出)法案の前から、ペントアップ需要によって経済が良くなると思っていたが、今はさらに財政支出が決まりつつある。
特に、この9か月指摘してきたのは、システムに存在する記録的なマネーが金融資産に向かわざるをえないということだ。」

ワクチン接種の進展で、これまでパンデミックにより抑制されてきた分野に(程度はどうあれ)ペントアップ需要が起こるのは確実だ。
そのタイミングで(日本の一般会計予算の2倍の規模の)財政支出が始まろうとしている。
(程度はどうあれ)経済は熱くならざるをえない。
当然、経済が熱いうちはインフレも金利も上昇圧力が加わるだろう。

シーゲル教授は、株式が金利上昇を克服できると予想する。
教授は金利上昇を予想するものの、当面の上昇余地は限られているとも予想している。
政府・中央銀行がそう望むからだ。

「FRBには、いつインフレ上昇を鈍化させるのか、プレッシャーがかかる。
しかし、バイデン政権は経済を熱くしておきたいと望むし、そうさせておくようにとの政治的プレッシャーが及ぶだろう。」

シーゲル教授は、今後も長い間、米実質金利がマイナスで推移すると予想しているようだ。
1つの想定シナリオとして、インフレが4-5%、名目の長期金利2.5-3%という水準を挙げている。
この説例では、債券保有者は毎年2%前後の購買力を失うことになる。
では、株式はどうなのか。

株式とは実物資産のようなものだ。
実物資本、アイデア、著作権、知的財産権などなどに対する請求権であり、インフレ環境ではその価値を維持する。
配当を支払う銘柄では、配当がインフレとともに上昇する。

株式がある程度までのインフレに強いのは経験則どおり。
シーゲル教授は、インフレに対する強弱の差から、引き続き株式市場にマネーが流入すると予想する。

ここで、CNBCのキャスターが鋭い質問をした。
足下における相対的魅力度の議論は、しょせん「近視眼的」な分析にすぎないのではないかとの投げかけだ。
これは理論からいえばやや無茶な議論ではあるが、言い換えれば、時が経つにつれて比較結果が大きく変化しうることを暗示した問いでもあった。
シーゲル教授は、この問いに対し、ホライズンをつけて返答している。

最終的には金融引き締めの脅威が起こる。
引き締めが株式にプレッシャーを及ぼし、その恐怖が今起こりつつあるのだと思う。
しかし、今回の刺激策の金額を見ると、株価は今年まだ10-12%上昇しうるだろう。

今年の米国株について、シーゲル教授の強気予想は動かない。
しかし、その先については、決して強気とはいえないカラーが予想されている。

その後、FRBが懸念を深め、2022-23年は横ばいにしてくるだろう。
しかし、今はまだ流動性が株式を押し上げる局面だ。
すこし恐怖も感じられるようになるだろうが、経済の強さと企業収益の改善により乗り越えられると思う。


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