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警告はわずかでいつも否定される:ブラックストーン

ブラックストーンのジョー・ザイドル氏が、経済・市場見通しを弱気方向にシフトさせ、今回のバブルの本体を名指ししている。


アンゴラから米国まで、中央銀行は経済を改善するのではなく投資家をなだめるために規定時間外まで仕事している。
世界のほとんどすべての中央銀行は緩和モードだ。
金利低下は金融資産を押し上げることはあっても、概して実体経済を刺激することはできない。

ザイドル氏が顧客向け月例書簡で、経済刺激に金融政策を用いるのは誤りと書いている。

世界中で不思議な現象が見られる。
ハト派と呼ばれる人たちは概して金融・財政政策の両方に積極的だ。
金融政策をやりつくして効果が低減してくると、次は当然財政政策となる。
タカ派と呼ばれる人たちは概して金融・財政政策の両方に慎重だ。
しかし、意に反して金融政策がやり尽くされると、これ以上の無茶な緩和を防ぐこともあり、財政政策やむなしの姿勢となっている。
この結果、金融政策はもうストップし財政政策を容認しようという大合唱になる。

ザイドル氏はもう少し科学的に数値をもとに金融政策の効果を見直している。

「1年前、各国中央銀行が金融政策を引き締めていた時でも、クレジット市場の状況は今日と比べて大きく困難だったわけではない。
タイトなクレジット市場が問題でないなら、金融緩和が解決策である可能性は低い。」

では、何が本当の問題なのか。
ザイドル氏は貿易戦争を問題の中心に挙げる。


「消費者であれCEOであれ、ほとんどの主要な信頼感指数は、2018年に貿易戦争がエスカレートした時にピークをつけている。
株式市場は、2019年に上昇しているものの、最初の関税が実施される前の2018年初めからわずか4%しか上昇しておらず、それ以来ほとんどインフレに勝っていない。」

その中で、米中摩擦が第一段階合意に達したことをプラスとしながら、まだ先を注視すべきとも書いている。
これ以上の株価上昇には企業業績の改善が必要だという。

ザイドル氏の見通しは総じて弱気に向かっている。
8月末のイールド・カーブ長短逆転を見て「この時代の不協和音」を聞く思いがしたのだという。
次の景気後退が6か月以内に来るとは思わないが、2年後より先とも思わないと書いている。
仮に大統領選まで景気が持ったとしても、それ以降長く持つこともないとの見通しだ。
さらに株価のピークアウトが先行することを考えると、株価は選挙まで持たない可能性が圧倒的とも読める。
浜町SCI調べでは、過去4回の景気後退期、株式市場 は平均8.5か月ほど先行していた。)
ザイドル氏は不吉な兆しをいくつもかぎ取っている。

「イールド・カーブ逆転から何が間違っているかはわからない。
ただ、何かが間違っていることだけしかわからない。
レポ市場の混乱、マイナス利回りの債務、大きくマイナスのターム・プレミアム、世界中の貿易摩擦、製造業の崩壊、これらすべては今でこそ無関係のように見えるが、私にはランダムな出来事とは思えない。」

ザイドル氏は最後を箴言めいた文章で終えている。
そこには、今回の景気拡大・強気相場を支えたバブルの本体が指摘されている。

すべてのサイクルは過剰とともに終わる。
警告は通常わずかで、いつも否定される。
今回のサイクルの過剰はソブリン債務だ。


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