諸外国を見習うべき:ジェフリー・サックス

ジェフリー・サックス教授が、米経済を良好と評価する経済学者・コメンテーターを冷静に批判している。
話はさらに一歩踏み込み、GDPや失業率といった指標への偏重にも警告している。


アメリカ人の大多数は自国で起こっていることに幸福を感じてもいないし、問題の解決策が2017年の減税だと信じるほど世間知らずでもない。
多くのマクロ経済学者とは異なり、彼らは生活にとって、短期的なGDP成長率改善や失業率低下よりも大切なことがあるのを知っている。

サックス教授がProject Syndicateで、目先の経済指標とは裏腹に米国が不幸になっている可能性を指摘している。
大型減税を行えば一時的には経済は改善するし、長い目で見ても少しはよくなるのだろう。
しかし、財源を失うというデメリットをともなうのも事実であり、米国の場合、格差を拡大するような歳出削減が企図されているのが現実だ。

サックス教授はこれを問題視し、最近の米国民の意識調査を紹介する。

  • 2017年の減税に対する意見: 支持40%、不支持49%
  • 経済状態の分配: 非常によい・よいが半分、公平・悪いが半分
  • 経済状況: 改善している49%、悪化・横ばい50%
  • 国の方向性: 満足31%、不満足67%

大統領が史上まれにみる好景気と吹聴するほどの幸福感は感じられない。
政権やそれに近いエコノミストらが都合よく選ぶ、丸まった数字には限界があるのだろう。


サックス教授は、国民生活の中身まで目をやるべきと主張する。

これらはピンボケ画像にすぎず、将来を見落とし、不公平な結果を見過ごし、割高な医療・高額な学生ローン・雇用の安全の欠如に直面するアメリカ人の高くかつ高まる心配を反映できていない。
これらは、寿命の低下も、薬物乱用・自殺・うつの重荷の増大も反映していない。

経済はいいと言われているのに、なぜ多くのアメリカ人が不幸になっていくのか。
全体のパイが多少増えたからと言って、その面だけをあげつらっても意味がない。
パイが大きくなることはいいことだが、その恩恵が隅々までいきわたることが重要だ。

サックス教授は、国のリーダーたちが国民の人生の質まで注意を払うべきと書いている。

今こそ経済学者、賢者、政治家がこの時代の生活を総合的に見つめ、米国をはじめとする多くの国における医療制度・絶望・格差・ストレスの複合的な危機に対処するのに必要な長期的な構造変化に真剣に取り組むべき時だ。
米国は特に、多くの他国の人たちが(米国より)幸福で、心配も少なく、長生きしている点を反省すべきだ。
概して、こうした国々の政府は、金持ちのために減税したり、その他の人のためのサービスを削減したりしない。


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