ジム・ロジャーズ氏が、米金融・財政政策について本質的問題を助長するものと批判している。
「彼らは学者や官僚であり、私の子供のことなんか気にかけてくれない。
彼らが気にするのはトランプ氏再選なんだ。
彼らは若者のことなど考えない。
あなたのこともだ。」
ロジャーズ氏がBarron’sで、FRBや米政府の拡張的金融・財政政策を強く非難している。
従来から拡張的だったものが、コロナ・ショックでさらにはるかに拡張的になっている。
同氏の目からすれば、これら政策の主眼はトランプ大統領再選にあるということらしい。
米政府が一瞬にして債務を増加させることについて、ロジャーズ氏は、世界のためにならないと話している。
主要準備通貨としての役割を意識してのことだろう。
「これは11月には良い影響を与えるだろう。
でも、2022年、2026年にはどうなんだ。
世界中の若者にとってはどうなんだ。
次の弱気相場は私の人生で最悪のものになる。」
金融・財政政策についてタカ派的な意見を述べることは、とかく受けの悪い行いだ。
今のようにポピュリズムが勢力を拡大していればなおさらのこと。
それでも、ロジャーズ氏は言い続ける。
「(弱気相場は)いつ来てもおかしくなかった。
とても多くの株が、ある種バブルの領域に入っていた。
FRBは大量の貨幣増刷をし、政府は莫大な金額を使い、それがバブルになった。
それが2月に弾け始めた。」
何がバブルかは議論があろう。
ここで重要な視点は世代間の不公平だ。
金融・財政刺激策には先食いの性質が強い。
将来のために必要だと思うから先食いをすべきとの意見もあろうが、無責任に先食いを求める輩も少ないとはいえまい。
これが若者たちの負担を増やす。
年寄りは先に死んでいくからいいが、若者たちはもっと長く生きなければいけない。
いつまでもいくらでも先食いできるものでないとすれば、若者たちの負担はやはり大きい。
年寄りたちは自分たちの世代の借金さえ返すつもりがないように見える。
若者の中には、苦しさのためか、自分たちの世代を将来害するような政治を賛美する人もいる。
ロジャーズ氏は、コロナウィルスを取り立てて特別視せず、ルーチンのように扱う。
もっと大きな「人生で最悪のもの」のきっかけにすぎないといいたいのだ。
弱気相場が始まるのにはいつも理由がある。
今回はそれがウィルスのようだ。
しかし、根本的な問題はもっと根深い。
債務が世界中で増大し、貨幣増刷が世界中で莫大に行われている。