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詐欺発覚にはタイム・ラグがある:ジム・チャノス
2019年11月26日

Kynikos Associatesのジム・チャノス氏が、金融詐欺の歴史、中国、テスラ株価について語っている。


私たちが過去のナラティブを通して学んだのは、詐欺のサイクルが金融サイクルに遅れをともなって追随するということだ。
この遅れはしばしば、破壊的技術が主導する強気相場によって増幅される。

チャノス氏がHedgeyeのインタビューで、強気相場が終わる時に発覚する悲劇について警告している。
同氏はヘッジ・ファンドを営む傍らイェール大学やウィスコンシン大学で(金融・投資分野の)詐欺を教えている。
チャノス氏は「キンドルバーガー-ミンスキー・モデル」を用いて詐欺を分析したのだという。

強気相場の中で詐欺が増えるのは想像に難くない。
《電車に乗り遅れるな》といった雰囲気の中で、人々の焦りにつけ込む悪者の話はよく聞くところだ。
チャノス氏は、人々が騙される瞬間を次のように描写する。

「強気相場の間、人々は疑う感覚を停止してしまう。
強気相場が続くほど人々はのめりこみ、真実でないものを信じ始める。
嘘の話を喜んで売る企業や経営者が増殖を始める。」

チャノス氏によれば、株価が高いうちはみな不注意になりがちなのだという。
同氏によれば、人間とはそもそも何かを信じたがる生き物なのだ。
本来なら気づいておかしくないことさえ、高揚感の中では見逃してしまう。

だから、ほとんどの詐欺は市場がひっくり返った後に発覚することになる。・・・
人々の財布の紐が堅くなり、返金を求めるようになると、ほとんどの詐欺は返金できなくなる。
だから、何世紀見ても言えることだが、ほぼ文字どおり、ピークの後かなり経つまで不正は発覚しない。・・・
これは過去300年にわたり見られた一貫性のあるマクロ的な傾向だ。

このタイム・ラグこそが被害者の傷を深くする。

エンロンの不正を暴き一躍名を上げたチャノス氏は、ショート・セラーを資本主義の捜査官と称する。
自身の投資活動の持つ社会的意義について胸を張っている。

「これこそが、私たちが市場をロングし、企業をショートする理由だ。
ミクロでは多くのものが失敗するものだからだ。
それは良いことであり、それこそが資本主義だ。」

チャノス氏は2点、個別のショート・ポジションにも言及している。
1つは中国。
チャノス氏によれば、現在の中国が(バブル崩壊直前の)1989年の日本と(政治体制を除き)似ているという。

2点目はテスラ株価だ。
テスラは最終損益ベースで黒字となる四半期が出始めた。
今年第3四半期も、3四半期ぶりの黒字となった。
株価も持ち直し、一時元気のなかったイーロン・マスクCEOもすっかり傲慢さを取り戻したようだ。

チャノス氏は依然としてテスラのショートが自社の主要ポジションであることを明かした。
ただし、以前のような破滅的未来を予想するというより、シナリオは穏やかになっている。
上場から9年が経ち、黒字化する四半期が出てきた中で、合理的かつ意地悪にディスっている。

これらすべての数字から、自動車会社について世界で用いられているバリュエーション方法を適用すると、興味深いことに(テスラ)株価は無価値、ゼロと算出される。
350ドルという株価は、単純に将来すべての輝かしい製品が驚異的な利ザヤで発売されることを前提としたものだ。
・・・テスラの現実とは、会社が黒字かどうかでなく、株価水準なんだ。


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