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見過ごせないグレー・ディボースのリスク

以前、豊かな老後を暮らすには老後資金が1億円必要と書いたら少なからず反響があった。
もちろん様々な条件によって大きく変わる数字であり、1億円というのは多くのリスクをヘッジするための大きめの数字だ。


どんな条件が効いてくるかといえば、年金の内容、家族構成、住居などが代表的。
さらにリスクについても、インフレをはじめとして不確定要因は多い。
その中でも読者の目を引いたのが熟年離婚のリスクだった。

米国では「gray divorce」と呼ぶらしいこの現象についてBloombergが長めの記事を載せていた。
読めば読むほど震え上がり、暗くなる内容であり、改めてグレー・ディボースのリスクの大きさが感じられた。
記事は米国についてのものだが、日本でも女性の社会進出が広がり、年金制度の改定が進めば、グレー・ディボースは増えることだろう。
Bloomberg記事からいくつか内容を紹介しよう:

  • 2009年の論文: 別居・離婚した人は血圧が高め。
  • ドイツでの研究: 特に男性は離婚で太る。
  • 米大学での研究: 離婚が精神と家計に打撃を与える。生活水準は男性で21%、女性で45%低下し、回復は難しい。グレー・ディボースを経験した63歳以上の女性の貧困率は27%
  • 2016年の研究: 離婚したヘッジファンド運用者は離婚後2年ほどアンダーパフォームが続く。
  • 最近の研究: 小企業のCEOが離婚すると業績が著しく悪化する。
  • 米大学での研究: CEOが離婚すると報酬が増える。離婚の諸費用を援助しているものとみられる。

経済的な話に限れば、離婚は世帯を小さくするのが普通だろうから、家計のコスト・パフォーマンスが悪化するのも覚悟せざるをえない。
離婚前は十分と思っていた老後資金も、離婚後は足りなくなってしまうかもしれない。
あわせて心身に問題が起これば仕事が続けにくくなるなどの不都合もありうる。

あまりいいことがないのだから、離婚しないですめばそれに越したことはない。
しかし、現状の結婚生活があまりにも悲惨なら、離婚もやむをえない。
ならばあらかじめしっかり貯めておくに限る。
あるいは、次の相手をさっさと見つけるという手もある。

記事によれば次のパートナーを見つけることは有効な手段だという。
しかし、それが問題を解決するとは限らない。
結婚に前向きなベビー・ブーマー世代の中には2度3度と離婚を繰り返し、財務を悪化させていく人がいるのだという。

《自分はすぐれた投資家だからすぐに投資で取り返せる》などと考えてはいけない。
生き馬の目を抜くヘッジファンドの世界で戦う運用者でも離婚によって能力を曇らせてしまうのだから。


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