投資

見当違いな理論が動かす市場でどう投資するか:ロバート・シラー
2021年10月6日

資産価格の実証研究で2013年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授は、資産価格が高騰する中、それでも予見を持たず対応することが重要と説いている。


明らかに投資家は慎重になるべき時だ。
それ以上のことは、概して私たちの予想の力を超えている。

シラー教授がThe New York Timesへの寄稿で、通好みのテーマを論じている。
教授は、米国の「3大資産クラス」(株式・債券・不動産)が「すべて極度に高い」と断じている。
にもかかわらず、いつものように、高いことをもって下げるとは言えないと含ませている。
シラー教授は、現状を生み出したのが1つの客観的要因ではなく、流行している複数のナラティブであると考えている。
資産価格が高いのは、例えばFRB金融政策のような客観的事実ではなく、市場参加者の心理によるものというわけだ。
人間の心理によるものだから、確と予想できないのだ。

1つの問題は、流行している表面的にありそうな理論が、たとえ見当違いなものでも、排除されにくいことだ。
思い出したように現れては、株式や住宅の市場の先行きを予見していると主張するのだ。

この後コラムは見当違いな理論の類をいくつかさらりと紹介している。
政治的な話も含まれるが、ここでは触れないでおこう。
ここでは、より投資家に身近な2例を紹介しておく。

  • マーケット・タイミングは不可能という話は有用だが、知り合いが大儲けしたというような話ほどには伝染しない。
  • 「自己啓発」ビデオ・書籍は架空の投資のナラティブに満ちており、専門家を信じず自分を信じるよう説き、リスク・テイクを煽るものが多い。

シラー教授は、資産価格上昇にともないリスクが増していると書いている。
しかし、市場を決めるのが上述のような見当違いな理論まで含むナラティブである以上、マーケット・タイミングは不可能と釘を刺している。

タイミングは重要だが、信頼度のあるマーケット・タイミングは不可能だ。
こうした状況では、投資家は、保有資産を徹底的に分散し、すでに高い値がついている資産クラスの中でより高くない値のついているセクターに集中するのが賢明だ。

シラー教授ほど経済と市場の両方に精通した人はそうはいない。
下げがあるかもしれないから選別が重要という、この結論も至極常識的なものだ。
しかし、こうした推奨を見るたびに思うことがある。
マーケット・タイミング、つまり上げ下げを予想するのが不可能であるように、いかなる選別も(たとえ合理的なものであっても)事前に有効と知ることは不可能なのではないか。
インデックスがいかに愚かしく上げていても、さらに上昇することもあるのが市場だ。
ある銘柄・セクターが愚かしく上げていても、さらに上昇することもあるのが市場なのではないか。


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