投資

ハワード・マークス 良いEBITDA、悪いEBITDA:ハワード・マークス
2021年6月9日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、バリュー投資に対する信条、EBITDAの用い方について語っている。


キャッシュフローについて考えないといけない。
何に投資するのでも、キャッシュフローに対する考えなしに行うのは薦められない。

マークス氏が、あるビジネススクール主催のリモートでのコンファレンスで質問に答えている。
質問は、テクノロジー株のバリュエーションについて尋ねたもの。
このセクターにはグロース銘柄が多く、足元の業績に対する株価倍率等は高くなりがち(あるいは計算不能)だ。

このコンファレンスでは、マークス氏が講師となって、バリュー投資についてレクチャーしている。
冒頭マークス氏は、バリュー投資の定義を

根源的に価値のあるものを主に基礎的キャッシュフロー産出能力に基づき定量化し、その価値より十分割安な価格ならば買う」

と定義している。
いわば、マークス氏の信条を述べたものだ。
その信条からいえば、対象がテクノロジー株だろうがグロース株だろうが、冒頭のような回答になるのは当然なのだ。

もちろん、マークス氏も、今後の企業の成長過程を無視しろと言っているわけではない。
問題は、投資家が確信を持てるだけの仮説が存在し、その仮説が株価を正当化するか否かにある。
やってはいけないのは、正当化しないのに投資したり、そもそも検証の手続きをスキップしてしまうことだろう。

マークス氏は、関連質問として、EBITDA(金利・税金・償却前利益)への見解を尋ねられている。

「みんなEBITDAを目にしているが、それを理解しているかぎり、とても良い概念だ。
漫然と見るのでなく、税金、金利、償却・消却費の本質を知らなければいけない。
これらは資本等が要求する費目だ。」

EBITDAを資本関連費を引く前の利益と解釈するなら、まさに投下資本と対応する指標ということになる。
しかし、EBITDAが好まれる理由は、そのような考えによるものでないことも多い。
低収益の事業の収益を大きく見せたいために使われるのだ。
多少の営業赤字なら、減価償却を足し戻すことでプラスに戻すことができる。
さらに、多くの人が創造的な企業会計に勤しんでいる。
何でもかんでも一時費用として、《調整》の名のもとに足し戻そうとするのだ。

調整後EBITDAは本当に悪い指標だ。
私たちにとって一番大切な仕事は、調整前に戻すことだ。
『AをやらずBをやれていたら、わが社はこんなに高収益だ』というのはあまりにも推測が行き過ぎる。
私たちはEBITDAについてのメイン・シナリオを設け、その上で将来についての自分たちの推測を織り込むよう調整を施すべきだ。


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