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航空株は米経済の縮図:ローレンス・サマーズ
2020年6月23日

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、航空株の回復に言及し、現在の株式市場についてやや警戒感を示している。


航空会社の全体の価値がどうなっているのかを見て驚いた。
株式と債務の価値の合計を見ると、コロナ・ショック前にかなり近いところまで戻っている。
航空会社に関すると、市場は少し行き過ぎたようだ。

サマーズ氏がBloombergで、珍しくミクロな話題について語っている。
しかも、ファイナンス理論にのっとった正しい指摘をしている。

同氏が言及した「株式と債務の価値の合計」とは、ファイナンス用語としての《企業価値》のことだ。
企業収益(ここではNOPLAT)が企業価値を決め、それを債権者と株主が分け合うというのが通常の考え方だ。
コロナ前後で企業価値が減らないためには、コロナ前後で企業収益が減らないことがファンダメンタルズ上の裏付けとなる。
ところが、実際に市場価格から計算した企業価値は、コロナ前に近いところまで戻っているというのだ。
つまり、市場は、企業収益が元に戻るという楽観的に見える仮定に近いことを実際に仮定していることになる。

サマーズ氏はコロナ・ショックが米国に波及した時、ひどく悲観したりはしなかった。
むしろ、冷静に危機の中身を見て、回復も早いかもしれないとのニュアンスを漏らしていた。
その後、危機の深刻さの方にも注目し、絶妙のバランス感覚を見せている。

サマーズ氏は、航空会社が自力再建のため企業努力を進めると予想している。
コスト削減に努め、便数を減らし、おそらく値上げもするだろうという。
しかし、それでも航空業界は困難な時代を迎えると述べている。

テクノロジーの恩恵によって世界は変わった。
米企業での出張は以前より減り、それが搭乗券販売にとって永遠に重しになるだろう。
これは経済全体の問題の縮図であり、おそらく市場は、戻りつつある本当の好ましいニュースの少し先を行ってしまっている。


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