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老いぼれと蔑まれようが早いが勝ち:ジェレミー・グランサム
2022年2月23日

バブルの研究家として有名なGMOのジェレミー・グランサム氏がFOX Business出演時、2009年に書いたコラムを奨めていたので、短く紹介しよう。


1999年市場が上昇している中でキャリアを危険に晒し老いぼれと蔑まれるのを承知でリターンをあきらめるのは心理的苦痛だった。
同じように今日、特に前例のない流動性枯渇の市場で現金の調達が困難になって以来、ますます好まれる現金とお別れするのは苦痛であり、キャリアにとってのリスクだ。

グランサム氏が2009年3月に公表したコラム「震えあがっている時に再投資しろ」で書いている。
同月はリーマン危機後にS&P 500が底を打った月だ。
当時の相場を回顧しよう。

リーマン危機後のS&P 500

2009年3月のレンジは666.79-832.98、終値は797.87だった。
この666.79がリーマン危機での底値だ。

他人様のお金を運用するというのはしんどい仕事だ。
足元の相場が高すぎる、あるいはバブルとわかっていても、ポジションを閉じるのには勇気がいる。
逃げるのが早すぎてベンチマークをアンダーパフォームすれば、投資家が怒り、資金を引き揚げてしまうかもしれない。

実際、2000年のドットコム・バブルにおいてグランサム氏はいち早くバブルに背を向けた。
結果、ベンチマークや競合相手に大きく水をあけられ、資金引き揚げの憂き目に遭う。
バブル崩壊後、GMOのパフォーマンスは目覚ましく改善したが、1つの疑問が残った。
たとえバブル崩壊でやられても、ピークに至る《最後のひと上げ》に参加した方がよかったのではないか。
一投資家としては成立しにくい疑問だが、運用報酬が大きい運用者としてはありうる話なのだ。
しかし、グランサム氏に迷いはない。

「賢明なバリュー投資家は、常にバブルでの売りが早すぎ、崩壊での買いが早すぎる。
そのかわり、行って来いでより多くのリターンを上げ、平均のリスクを下げることができるかもしれない。」

グランサム氏は早すぎるメリットをこうアピールしている。

今回の話題は2009年。
つまり、バブル崩壊後だ。
テーマは明確、再エントリーをどうするかだ。
グランサム氏は、現金を多く持つ人ほど再エントリーのタイミングを見逃しやすいという。
バブル崩壊を目の当たりにすると、投資家は身がすくんで動けなくなる傾向にあるという。

この心理的障壁を避けるため、GMOではあらかじめ再投資プランを作成してあるのだという。
何度かに分けて大きく再投資する計画がよいらしい。
ここで重要なのは、どういう条件で各回を実行するかにある。

特に重要なのは、フル・インベストにする条件を明確に定義しておくことだ。

つまり、買いを終える条件を決めておけというのだ。
グランサム氏は具体例を書いていないが、例えば、株価指数が半値になったところ、などであろうか。

さて、2009年3月グランサム氏はS&P 500のフェアバリューを900(執筆時から30%上)と見ていた。
一方、半々の確率で600を割り込むとも考えていた。
GMOでは2008年10月からすでに買いを始めており、下げとともに買い増す心づもりだったという。

「人生は単純だ: 投資が大きすぎ早すぎれば後悔する。・・・
一方、潜在的な高リターンと市場回復を話した後で、投資があまりにも少なければ、絶命するだろう。・・・
最適を求めるのは落とし穴や妄想にすぎず、単に麻痺状態を強めるだけだ。」

日本流にいえば《頭と尻尾はくれてやれ》ということだろう。
マーケット・タイミングできる保証はないから、何度かに分けて買えというわけだ。

グランサム氏は、早すぎて味わう後悔と遅すぎて被る機会損失を天秤に掛けるモデルを作ったと明かし、他の投資家にも奨めている。
この推奨にはやや疑問符が付く。
少し意味が違うものの、結局グランサム氏も「最適を求めた」ように見えるからだ。

さて、グランサム氏は最後に買い場到来の見極めのヒントを書いている。
パンデミックからの買い場にも当てはまった話だ。

最後に、市場はトンネルの先が明るい時に反転するものでないことに注意しろ。
真っ暗だが前日よりわずかに黒くなくなった時に反転するものだ。


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