米金融メディアで、2人の債券王の口喧嘩が注目され、楽しまれている。
そもそも、債券王、女王になるためには、王国を持つ必要がある。・・・
ピムコは2兆ドルを運用していたが、ダブルラインは550億ドルくらいだ。
これは王国じゃなく、ラトビアかエストニアぐらいだ。
かつてPIMCOを共同創業し、世界最大の債券ファンドに育て上げ、債券王と呼ばれたビル・グロス氏がBloombergで語った。
現在、米市場で債券王と言えばダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏だろう。
グロス氏の発言は、かなり挑発的に聞こえる。
グロス氏は2019年、同じくBloombergから債券王の条件を尋ねられている。
その時も、王国を持つことを条件に挙げていた。
具体的にスコット・マイナード氏(2022年逝去)を挙げ「20年前のちゃんとした環境なら債券王になっていた」と話した。
債券の超長期強気相場が終わりつつあり、そこで王国を築くのが難しいこと、逆に言えば、自身には幸運もあったことを理解していたのだ。
それにしても、今回グロス氏はガンドラック氏をディスっていると言われても仕方ない。
なぜ、同業の後輩に厳しく当たったのか。
グロス氏が自ら創業したPIMCOを追われるようにして退社したのが2014年。
その後、ジャナスへ移籍し運用を続けた。
なんと、PIMCO退社の時、ガンドラック氏に一緒に仕事をしようと申し入れをしたのだという。
ガンドラック氏の気質を思い浮かべれば想像がつくが、同氏の反応はグロス氏にとって腹立たしいものだったようだ。
とはいえ、ガンドラック氏からすれば、今回のグロス氏の発言は、何を今さら、といった感じの話だったろう。
同氏は次のように反応している(BNN Blooberg)。
10年間仕事から離れている人がまだ悪魔祓いをしようとしているのを見るのはつらい。
・・・でも、彼が元気なのを祈っている。
ガンドラック氏は、債券王と呼ばれたいと願ったことはなく、意味さえわからないと話した。
また、受託資産は1,000億ドルに増えており、意図して増やさないようにしているとも話した。
本人は「王」にこだわりがないのだろうが、今回は王者の風格を示したといえようか。
教訓:
おじいちゃんに要らない質問をするな。
誰も得をしない。
債券王どうしの言い争いは、市場の見通しだけにしてほしいものだ。