ハワード・マークス

 

結局何を買ったら儲かるの?:ハワード・マークス

Oaktree Capitalのハワード・マークス氏が応じた高校の投資クラブとの一問一答の第2弾。
投資の世界でうんざりするほどなされる質問に対してマークス氏が論理だった解説をしている。


投資の際、どうやってアップサイド・ポテンシャルがダウンサイドを凌駕するようなある種の非対称な投資先を見つけているのですか。

質問者のラジャン君がストレートな質問をマークス氏に投げている。
要は、どうやったら儲かる確率の高い投資先を見出せるか、もっと簡単に言えば、どうやったら儲かるか、と尋ねているのだ。
読者がプロまたは投資通のセミプロなら、周囲の人から何度も尋ねられたことがある質問なのではないか。

マークス氏は、その「非対称」こそが自分の求めるものだと話している。
投資を確率現象と見るマークス氏は、アップサイドがダウンサイドより大きくなっている投資機会を求め投資する。

では、どうやって探せばいいか。
マークス氏は、シカゴ学派の市場観を織り交ぜ、それが極めて難しい営みとくぎを刺す。

「まず第一に、クラスのみんなは当然それが簡単なことでないことをわかっているはずだ。
あまりにも多くの人が探していて、みんな知的でコンピューターが使え、データも入手でき、士気が高いからだ。
あまりにも多くの人が、シカゴ学派がフリー・ランチと呼ぶものが優勢なものを探している。」

市場が効率的ならば、フリー・ランチなど存在しないというのが答になる。
だから、フリー・ランチがごろごろと転がっているなどと期待すべきでないとマークス氏は言い切る。
その一方で、たまにフリー・ランチが現れることがあるとも話している。
たまにしか出現しないフリー・ランチの挙動をマークス氏はこう表現する。


投資家は(フリー・ランチを)見つけると買ってしまう。
彼らが買うと、結果は2つに1つだ:
1. おそらく(投資できる先が)なくなる。
2. 彼らが買おうとしたことで価格が上がり、フリー・ランチでなくなる。

マークス氏はラジャン君の質問に何とかいい答がないか探している。
まれに出現する非対称を見逃さないためにはどうしたらいいのか。
しかし、そこに定まったやり方があるわけではないので答に苦労する。

探し、分析し、アップサイド・ポテンシャルとダウンサイド・ポテンシャルが何か結論を出し、前提をチェックし、自分が現実的かバイアスがかかっていたか自問しないといけない。

このやや抽象的な答を補足するため、マークス氏はいくつか補足・喩えを付け加えている。

  • バイアスという落とし穴
    「みんなこういうものを探したいんだ。
    自分が見つけたと信じたいと人間は魅惑にかられるものなんだ。」
  • 簡単でないことを成し遂げるには
    「たくさん見て、たくさん仕事をしないといけない。」
  • ジョン・ケネス・ガルブレイスの言葉
    『金儲けについて学ぶことに知的な(注:「メモ」では「信頼できる」となっている)ことは何もない。
    もしもそうだったら、勉強はとても厳しく、IQがプラスの人はみんな金持ちになっているはずだ。』
  • マニュアルはない
    「もしも、信頼性と再現性のある手順に落とし込めるなら、みんなそれを実行し、結果、非対称は煙のように消えてしまうんだ。」
  • バスケットボールの喩え
    「コーチして背を高くすることはできない。
    投資では卓越した洞察力が必要だ。」

マークス氏は労を惜しむなという。

あなたは探し、探すことの重要性を理解しなければならないし、さらに必要な能力・判断力を身につけなければならない。

相手が投資クラブの生徒たちだったから、マークス氏は投資への積極的なかかわりを奨めている。
もしも相手が一般の人々で、その人たちに努力するつもりがないのなら、おそらくパッシブ投資等を奨めたのではないか。


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