インド・メディアによるジム・ロジャーズ氏のインタビューを読んでいたら、同氏の憎めない性格がうかがわれてきた。
「私はインドを愛している。
本でも書いたとおり、インドは世界における私のお気に入りの国のうちの1つだ。
是非訪れるべきだ。」
インドETのインタビューで、インドと中国のいずれかから投資先を選ばなければいけないならどちらを選ぶかと尋ねられて、ロジャーズ氏が話し出した。
そもそもかなり無理筋の質問だ。
なぜこの2市場なのかよくわからない。
それほどインド国民は中国に対してライバル心を抱いている。
この不自然な質問に対してロジャーズ氏が答えたのが冒頭の「愛している」発言だ。
同氏は、各国訪問・メディア出演の際、しばしばこうしたリップサービスを行う。
多くの場合、その後に異なる趣の内容を述べることになる。
今のところはインドに投資していない。
中国には少し投資している。
昨日も中国株に投資した。
要は断然中国ということだ。
ロジャーズ氏の日頃の発言を聞いていても、中国への投資は「少し」というレベルではない。
お子さんに中国語を学ばせたいがためにシンガポールに移住した話も有名だ。
そもそもロジャーズ氏は2015年にインド株をすべて売却している。
モディ首相の改革が不十分との理由だったが、株価がそこそこ上げていたという理由もあったのだろう。
それ以降、インド株を買ったという話は聞かれていない。
ロジャーズ氏のリップサービスは続く。
「インド企業には素晴らしい未来を迎える企業がある。
私も勉強しないといけない。」
ロジャーズ氏は決して嘘をつかない。
嘘をつかない範囲で、場の雰囲気を良くしようとする気のいい老人なのだ。
インタビューの後では、ちゃっかりインドを物色対象に入れるほどだ。
ロジャーズ氏といえば昨年、日本を半ばディスるような内容の本を出版し注目を浴びた。
日本株はすべて売却したと話していた。
言行一致である。
ところが、今年の初めになると「日本株を買い戻す検討に入った」と語り、読者やアンチを驚かせた。
年初から日本株もだいぶ下がったし、個別にもお買い得といえる銘柄が増えている。
結局、日本株は買ったのだろうか。
インド、ベトナム、中国、日本、韓国への投資を物色している。
これらは原油安という事実から間違いなく恩恵を受ける。
そして、原油はしばらく低位が続く。
原油は複雑な底値の形成中だ。
確かに嘘をついているわけではないのだけれど。