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経験のない投資家を襲うインフレ・ショック:JPモルガン
2021年5月8日

JPモルガンのマルコ・コラノビッチ氏は、プロの投資家がまだリフレ・トレードに完全には舵を切っていないとし、今後もさらに同トレードが進むと予想している。


現在の投資運用者の多くが、利回り、コモディティ、バリュー株、インフレの有意な上昇を経験したことがない。・・・
最近10年間で進んだグロース、ESG、低ボラティリティのスタイルへの大きな配分の変化はすべてインフレと負の相関を持ち、ポートフォリオを脆弱にしている。

コラノビッチ氏のレポートについてBloombergが伝えた。
同氏は、先行きのインフレについて、どうやらコンセンサス側のスタンスを取っているようだ。
少なくとも、インフレ/リフレが進むシナリオについてかなりの実現確率をおいているように見える。
世界経済の再開が進む中で、投資家は高インフレ/リフレという新たな投資環境に適応する必要に迫られると予想している。

いまだ高い失業率、10年に及ぶ物価目標未達を考えれば、各国の中央銀行は高インフレを許容し、それを一時的なものと見る可能性が高い。
最重要の疑問は、資産運用者がより持続的なインフレが高まる可能性を反映させるように配分を大きく変えるかだ。

金融セクターにおいて、高インフレ・高金利を経験したことのある人の数が減っている。
米長期金利が15%を超えた1981年に22歳だったフィナンシエは今や62歳。
機関投資家において経営者でなく現役の運用者を続けている人は希少だろう。
ましてや、インフレ上昇・金利上昇の頃となるとさらに5-10年遡ることになる。
もはや経営層でも記憶のある人は少なくなっている。

何の仕事でもそうだが、稀に老人の直観が輝く時がある。
そうしたことがノウハウだけでなく、認知においても起こる。
高インフレや高金利、インフレ上昇や金利上昇を経験したことのない人が、それらの到来を予想するのは難しい。
日本人がその筆頭だ。
これまでディスインフレと金利低下を経験してきているから、それが続くとする根拠はスラスラと出てくる。
一方、トレンド反転は端から予想から外れてしまう。
実際、多くの場合、そのとおりになるから、なおさらトレンド反転の可能性は忘れられていく。

コラノビッチ氏は、持続的インフレが高まれば、市場に「インフレ・ショック」が走る可能性があると警告する。
自動売買・ヘッジファンドの株式への配分は、過去平均を下回っており、プロが完全にリフレ・トレードに舵を切っているわけではないためだ。
高インフレ基調が信じられるようになるにつれ、年後半も、インフレ・ヘッジ(コモディティ等)だけでなく、(低ボラティリティから)バリューへのローテーションが起こるという。

まだ、話は終わらない。
コラノビッチ氏はやや天才肌のストラテジスト。
常人がついていけない頭脳の回転を見せる時がある。
Bloombergが最後に引用したのもそうした部分だ。

ポートフォリオ運用者は危険を冒さず、ポートフォリオを再配分するだろう。・・・
低い市場流動性、系統だったマクロ/ファンダメンタルズのフロー、インフレのためにローテーションまたはヘッジしなければならない莫大な規模の金融資産の相互作用が、今後1年インフレとリフレのテーマに大きなインパクトを及ぼすかもしれない。

当面はリフレ・トレードが深化するが、そう遠くなく市場流動性が低下するという話になっている。
ひどくわかりにくい世の中になった。


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