経済回復は短期的、直に悪化する:アラン・グリーンスパン

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、米経済について悲観的な見通しを語っている。
足元の堅調は一時的な資産効果にすぎないものだという。


(米経済の回復は)とても短期的なものだ。
皆が気づいていないのは、実質GDPの変化が株価の関数であることだ。
株式市場、S&P 500の10%の上昇が1四半期遅れてGDPを1%増加させる。

グリーンスパン氏がCNBCで足元の米経済の立ち直りに警戒感を示した。
現在の立ち直りは昨年末からの市場回復による資産効果が大きいとして、すぐに息切れするとの見方だ。
米国株市場の上昇はすでにGDPの数字に織り込み済みであり、これ以上の市場上昇も予想していないという。
欧州経済が弱いこと、米国も年金などによる財政問題を抱えていることを挙げ、直に米経済は悪化に向かうだろうと予想を語っている。

「大問題なのは、年金によって大きな支出が長期的に継続することだ。
年金に大きな変化があれば、基本的に同じだけ資本的支出に影響することになる。」

財政の悪化が経済成長の礎となる投資を圧迫するとの心配だ。
このクラウディング・アウトが米経済の重しになるのだという。

ラリー・クドロー米国家経済会議委員長の「私が生きているうちに金利は二度と上がらない」との発言にコメントを求められた際には、満面の笑みを浮かべてコメントした。

「なんだって? (大笑い)
それは期待しない方がいい。」

経済を見通す上で重要な指標の談義では、FRB金融政策やイールド・カーブを否定し、30年/5年スプレッドを奨めている。


本当に重要なことを考える際にはFRBのことは忘れた方がいい。

短期的なノイズを議論するならともかく、FRB金融政策は経済の主役ではないと言いたいのだろう。
また、イールド・カーブ逆転と景気後退の関係性についてやや懐疑的だとし、自身は使わないと話した。

「米10年債利回りに何が起こっているのか。
あるいは、私がいつも注目しているように、極めて重要な変数は30年/5年のスプレッドだ。
これは一部の企業経営者が長期的な投資にどれだけ前向きかを知るための物差しになる。
経済を見通すうえでとても役に立つ、極めて重要な指標だ。」

グリーンスパン氏は従前どおり、悪化する米財政に懸念を示し、後にインフレとして顕在化するだろうと心配した。

「財政赤字そのものは政治的な効果を有しない。・・・
財政赤字が政治的効果を及ぼすのは、それが最終的にインフレを引きおこす時だ。」

グリーンスパン氏は、インフレが経済・市場の両方にとって極めて有害と話している。
ニクソン政権の賃金・物価統制を紹介し、小手先の対処でインフレを防ぐのは不可能と暗示している。

インフレの政治的影響を目にし始めるのは、これがマネー・サプライ増加、あるいは正確には単位マネー・サプライ増加に波及した時だ。
・・・
みんなが気にし出すのは、それがマネタイズされる時なんだ。

米国においてモダン・マネタリー・セオリーが実行されればマネタイズが起こることになる。
日本ではそれがすでに実現しているととれなくもない。
本当に恐ろしいのは、現実にインフレに転化するまで低成長と低金利が継続し、ガソリンにあたる債務の拡大が継続してしまうことだろう。


 - 海外経済 , ,