ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、大統領選挙・議会選挙について誤った先入観がは居座っていると指摘し、ある経験則が成立する背景を解説している。
経済運営について共和党の方が民主党より優れているとの先入観は、葬られるべき長く続いた神話にすぎない。
1997年の著書『Political Cycles and the Macroeconomy』の中で(偉大な)故アルベルト・アレシナと私は、民主党政権の方が共和党大統領より速い経済成長、低い失業率、強い株式市場を運営する傾向が高いことを示した。
ルービニ教授がProject Syndicateで、バイデン候補や民主党が勝利すれば経済や市場が悪化するとの見方を退けた。
教授は、バイデン氏や多くの民主党議員が穏健な中道であり、極端な政策は採らないと主張する。
増税等はあるだろうが、現政権の経済に有害な政策がなくなる分、改善の余地もあろう。
こうした主張の真偽のほどは原文を吟味いただくとして、ここではルービニ教授が提示したファクトを紹介したい。
実際、米国の景気後退はほぼいつも共和党政権下で起こり、私たちの著書の上梓以来このパターンが続いている。
1970年、1980-82年、1990年、2001年、2008-09年と今2020年と、すべて共和党の大統領の時に起こった(例外は1980-82年の二番底景気後退で、ジミー・カーターの下で始まったが、ロナルド・レーガンの時代も続いた。)
同様に、2008-09年のグレート・リセッションも、共和党が見る中で起こった2007-08年金融危機によって引き金が引かれた。
ある程度年を食った人なら、こうした経験則を良く知っているはずだ。
それなのに、多くの人が、民主党が大統領・議会を獲れば経済・市場が心配だと噂している。
過去の事実より単純な机上の空論に固執するためだろう。
もちろん、この経験則には反論もある。
共和党が種をまき、政権が民主党に移った後に実ったといった、少々苦しい主張などがそれだ。
事の真偽はともかく、結果だけをいうなら、概して民主党の時代は豊かな時代だったとの印象は強い。
クリントン政権がまさにそうだし、オバマ政権も株式市場だけを見るかぎり記録的ブームをスタートさせたのだから。
ルービニ教授はこうした経験則・傾向が「ランダムなものではない」とし、自説を主張している。
緩い規制が金融危機や景気後退を招くのだ。
さらに問題を複雑にするのは、共和党はいつも無謀な財政政策を追い求め、民主党と同様に多く支出しようとする。
それなのに、結果として生じる財政赤字を埋めるための増税を拒絶するのだ。