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終わりのない作戦を戦わされる中央銀行:ヌリエル・ルービニ
2021年9月24日

ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、従来からの「債務の罠」シナリオを繰り返し、中央銀行が罠を抜け出せない様々な理由を解説している。


私の心配は、単なる財政従属ではなく債務の罠に陥っているのではないかということだ。・・・
中央銀行は債務の罠に陥り、政策金利を正常化できず、インフレが上昇する。・・・
中期的には金融・財政・信用の政策(の余地・効果)が失われ、負の供給ショックと相まって、中期的に1970年代のようなスタグフレーションになるだろう。

ルービニ教授がBloombergで、いつものようにキャスターや視聴者を暗澹たる気持ちにさせた。
教授はこの債務の罠・スタグフレーションという議論を以前から主張し続けている。
民間・公共の債務が(世界金融危機時と比べても)拡大している今、経済・市場を混乱させないため大きな利上げや金利上昇容認は難しい。
結果(これまでより)インフレが容認されるようになる。
一方、国内外の経済では、短期だけでなく中期的にも供給制約が存在するといい、これがインフレを居つかせる。
いつか、経済はインフレと不況が同居するスタグフレーションを迎えるという。

キャスターは《終末博士》の話にいつものようにすっかり真っ暗な気持ちになったようだ。
「米国の実験」において楽観できるところはないのかと尋ねている。
ルービニ教授は、ポジティブに捉えられる点として技術革新(AI、機械学習、ロボット、自動化など)による生産性向上を挙げた。
一方で、これらが所得や富の格差拡大を悪化させうる点も指摘している。

キャスターは、そうした社会的側面まで中央銀行が責任を負うべきか問うた。
ルービニ教授はまずファクトとして、各国中央銀行が「終わりのない作戦」を戦わされていると指摘する。
かつては貨幣の価値を守る(インフレ抑止)ことが最優先とされたが、経済成長(雇用)、金融安定、最近では所得格差や気候変動への対処を求められている。
教授は現在の状況が伝統的使命の達成を危うくしかねないと警告する。

終わりのない作戦が意味するのは、非伝統的な度合いが増しているということであり、結果、やるべきことが制限される。
中央銀行にできるのは経済成長、インフレ、おそらく金融安定ぐらいだ。
終わりのない作戦を戦わされていることで、はるかに長く非伝統的金融政策を強いられ、インフレ昂進の一因になる。


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