海外経済 投資

米PERは50倍もありうる:レイ・ダリオ
2020年12月11日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、「お金と信用の洪水」による市場サイクル消滅の可能性に言及した。


現在、お金と信用の洪水の中にあり、それが資産価格を押し上げ、私たちが通常のことと信じてきたシステムを不可能にするように富を分配している。
それが私たちのお金と信用の価値を脅かしている。

ダリオ氏がredditで、ブレぶれることなく投資と経済の見方を繰り返した。
きつい言い方をすれば、現金はゴミ、そして債券もゴミと言いたいのだ。

SNSでのQ&Aだが、ダリオ氏の発言はテキスト・ベース。
テレビやビデオでの口頭の発言よりは、丁寧に語られている。
そこには同氏の本心が垣間見える。

最もありそうなことは、洪水が引かないこと。
だから、これら資産は、価値が減っていくお金の尺度で計測すると下落しない。

この発言の意味することは重い。
ダリオ氏は、リスク資産の名目価格が下がらないと予想しているのだ。
つまり、名目ベースで市場サイクルが消滅するということだ。
これまでほとんどの市場、ほとんどの時代、市場は(名目価格で)上がったり下がったりを繰り返してきた。
しかし、ダリオ氏の想定する貨幣価値低下の世界では、名目価格が低下しないようだ。

通常の債券では名目価格は(発行から償還を通せば)下がることはあっても上がることはない。
現金の名目価格は一定だ。
仮にリスク資産の名目価格が低下しないなら、確率分布としては上がる可能性が大きくならざるを得ず、現金や債券を選択する理由はなくなる。

名目価格が下がらないというのは、かなりの高インフレの事例でのみ見られる現象だ。
また、名目ベースで価格が上昇したからといって、実質ベースでプラスとなるとは限らない。
リスク資産の方が無リスク資産よりもマシ、という逆転の構図が出来上がっている。
無リスク資産に投資していては、リスクなく損をしてしまうのだ。

ダリオ氏は、こうした比較から、株価がまだ上がりうると書いている。

株式は債券と競合している。
現在の債券利回りでは、債券価格は利回りの約75倍だ。
お金の流通量を考えると、現金がこうも悪い選択肢なので、株式のPERが50倍まで行く可能性がないとは言えない。

現在、政治・外交だけでなく、経済にも大きな不透明性がある。
株はすでに高いようにも見えるが、さらに高くなる可能性もある。

ダリオ氏は、だからこその分散投資だと繰り返す。
同氏は、分散の材料として、ビットコインほかのデジタル通貨に一定の利点を認めた。
以前は、かなり否定的だったから、限定的ながら前向きに変化したといえよう。
価値の保蔵手段の選択肢として、分散手段として、利用可能との見解だ。
ただし、お気に入りはやはり暗号資産ではない。

主に言いたいのは、株式を含むこうしたタイプの資産(供給制約があり、携帯可能で、価値の保蔵手段である)をポートフォリオに組み込み、分散するということ。
これをやっている人が少ない。
金と比較したビットコインについては、私は、各国中央銀行が保有したがり、取引する時に交換してくれるモノを強く選好している。

ここで読み取るべきは2点。
「強く選好している」のは諸通貨や金であろうこと。
そして、ダリオ氏が株式を価値の保蔵手段の1つと捉えていることだ。
今や株はギャンブルではなく守りの手段になったのだ。


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