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米長期金利には長く低下圧力が加わる:ウィリアム・ダドリー
2021年8月8日

ウィリアム・ダドリー元ニューヨーク連備総裁が、今後予想されるFRBの金融政策正常化における利上げ幅やホライズンについて、いくつかヒントを出している。


この謎は意図的なものだ。

ダドリー氏がBloombergで淡々と解説した。
「謎」とは、ハワード・マークス氏が提起した、経済サイクルと市場サイクルの不同期のこと。
市場サイクルは高値圏にあるのに、経済サイクルはまだ早い段階にある。
この奇妙な状況について、ダドリー氏は極めて冷静に人為的なものとコメントする。

「現状はとても興味深い環境だ。
経済は回復中でインフレが前年比5%なのに、実質利回りは史上最低水準にある。
互いに整合しない。」

米連邦準備制度の実働部隊の中核といえるのがニューヨーク連銀だ。
ダドリー氏はゴールドマン・サックスで長くエコノミストを務めた後、ニューヨーク連銀に転身、2009-18年の長い間総裁を務めた。
米経済、米市場、FRB意思決定を知り尽くした紳士であり古狸だ。
容易に無駄なことを口にしない。

ダドリー氏は、FRBの意思・意図を尋ねられると、ほぼ市場コンセンサスどおりの答を返している。

「FRBの意思と意図とは、金融環境をとても緩和的にして、パンデミックで失業している人たちすべてが仕事に就けるように最大限の支援をするということだ。・・・
FRBはまださらなる大きな成果に満足しておらず、今日やおそらく来月の雇用統計で満足するかもしれず、そうなればテーパリングのプロセスに進むだろう。」

ダドリー氏は9月という季節を意識しているようだ。
9月とは、失業給付の上乗せが終わる時期であり、子供たちの学校が始まる時期でもある。
学校が再開すれば、親の手が空き、労働市場に変化が起こるかもしれない。
雇用者数にはプラス、失業率にはマイナス、供給制約には解消方向の圧力が働くかもしれない。

FRBの金融政策正常化への意思を尋ねられると、ダドリー氏は「FRBはバランスシートをゆっくりと縮小できるようになることを望んでいる」と代弁した。
ただし、それまでには順序を変えられない3ステップがあるという:

  • テーパリング
  • FF金利引き上げ:「たとえば1.5%ぐらいまで」
  • バランスシートを縮小

FF金利引き上げの着地点を1.5%とするのは、市場コンセンサスよりハト派的なのではないか。
同様に、ダドリー氏は、バランスシート縮小に相当な時間がかかると話す。

バランスシートは莫大な規模にあり、縮小を始めるまででも長い年数がかかる。
縮小を始めても、正常な水準に戻すには長い時間が必要だ。

ダドリー氏によれば、FRBバランスシートが正常化するまで長期金利に低下圧力が加わり続けることになるという。
ある程度ストック・ビューを支持しているのだろう。


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