破綻、破産、倒産

米銀破綻増で思い知らされる金融緩和の副作用

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8年に及ぶ景気拡大が続く米国で、銀行の破綻が増えているのだという。
その原因として語られている内容が、なんとも気持ちを暗くさせるものだった。


「決して金融危機や景気後退の恐れがあるわけではない。
ただ、注意を喚起したい状況ではある。」

Newsweekが注意を喚起している。
同誌が言うように、事態は危機的でもなんでもない。
ただ少々銀行の破綻が増えただけなのだ。

2016年、FDIC加盟の銀行のうち破綻したのは5行、その支店数は合計で18にすぎなかった。
ところが2017年はこれまでにすでに5行が破綻している。
4月末にはFisrt NBC Bank(29支店)とGuranty Bank(119支店)が破綻している。
確かに破綻銀行数も規模も大きくなっている。
とはいえ、預金はFDICで保護されるわけだし、全体から見れば心配すべきペースとはいえない。

Newsweekは破綻が増えている原因について

  • トランプ政権のせいではなく
  • 景気循環に影響される銀行業の特性によるもの

と解説している。
トランプ政権のせいならば改善の余地があるが、銀行業の特性によるものであれば回避は難しい。

「別に景気が悪くなったり、金利政策が変わらなくてもそうなのだ。」


というから聞き捨てならない。
Newsweekの解説はこうだ。

  1. 景気拡大が始まると家計・企業が借入を再開する
  2. 全体でみると、信用力の高い債務者から借入を始める。
  3. 景気拡大が長引くと、信用力の高い債務者の借入が一巡してしまう。
  4. 銀行は信用力の低い債務者にも貸出を積極化させる。
  5. 当然の結果としてデフォルトが増える。

経済学の初歩中の初歩《限界効用逓減の法則》が銀行の貸出でも起こっている。
そして、逓減しきった中で実行された貸出は、ほどなくデフォルトという負の効用となって銀行を苦しめる。
そこに金融引き締めが重なれば、隠れていた歪みは一気に表面化する。
この歪みは銀行経営の歪みとみなされがちだが、実はそれはそのまま経済の歪みでもあるから深刻だ。

「何しろ人々は10年近くの間、どうせ利上げはないと決め込んで資金計画を立ててきた。
利下げ局面なら借り換えも簡単だが、今はそうはいかない。」

再度言うが、これまでのところ金融危機を心配するような状況ではない。
むしろ、心配すべきは実体経済だ。
長々と続く金融緩和は、本来なら存在してはいけないバランスシートを世に生み出す。
そして、それが経済の成長・変革の妨げとなりうるのだ。

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