著名投資家レオン・クーパーマン氏が、経済・市場に関する見方とFA・投資家へのアドバイスを語っている。
みんな物価に追いつこうともがいている。
私たちは貨幣錯覚にとらわれている。
クーパーマン氏がCNBCのFinancial Advisor Summitで、現在の社会状況について漏らした。
名目の数字は上昇したものが多いが、果たしてそれが進歩にあたるのかと疑問を呈している。
高インフレがよく見せる数字がある一方で、人々はインフレに苦しんでいるからだ。
以下、クーパーマン氏発言から目立ったものを紹介。
財政についての古きよき保守派らしい発言
「CNBC出演者は財政状況について十分な時間を取らず、みんなインフレばかり話すが、インフレは問題の一部分にすぎない。
財政赤字をクローズアップすることがとても大切だ。
私にはどう解決すればよいか本当にわからない。
大きすぎる。
過去数年CNBCで、私は国家としてこの問題について富裕税の最高税率をどのように定めるかでまとまるべきと提唱してきた。
それが政府の歳入を決め、政府は歳入に応じた大きさにならなければいけないからだ。」
クーパーマン氏は富裕税に前向きな姿勢を示してきたが、一方で、左派が唱える非現実的な税率については切って捨てている。
クーパーマン氏は、現在進行中の急激な財政悪化がいつか公共部門の財務危機を引き起こすと話している。
ただし、足元では景気は底堅いという。
その理由も「前借り」だ。
「現時点では景気後退はないと思う。
その理由は積極的な財政政策だ。」
金利は高くなく、上がるだろう
私は、金利がそんなに高くないと考える少数派の1人だ。
サブプライム/リーマン危機の前までは、10年債利回りは名目GDPとすり合っていた。
インフレが3-4%で高止まりし、実質成長率が数%なら、5.0-5.5%の10年債利回りは割高ではない。
だから、金利が下がるとは思わない。
・・・もしも金利が破壊的に高いのなら、なんで株式市場は上昇し、みんな積極的に参加しているのか?
また、長期債の利回りや魅力について言及した。
「金利は上昇する可能性がある。
・・・5%を超えるまでは債券は買わない。
・・・(5%の10年債は)選択肢にはなるが、5.5%を大きく超えるとは思えない。」
クーパーマン氏は、そもそも債券より株式を好むと言っている。
米国株は割高、銘柄選別を
市場は全体で見れば割高との意見。
「結局は、S&P 500をPER 20倍で買うべきか自問しなければいけない。
私は、マクロ環境や金利と比較して20倍は高すぎると思う。」
ただし、銘柄によるばらつきがあり、チャンスも多いという。
私は、自分が好きでかつ誤った価格がついている市場で投資をしている。
・・・市場は二分化されており、高くない銘柄も存在する。
S&P 500には興味がない。
年内に4,600を超えるなら、大きな驚きだ。
・・・個別株に興味がある。
長期金利が上昇したとして、債券よりよく選んだ株式の方が良いと話している。
短・中期的には景気後退がカギになると話す。
「国内の経済状況、政治状況はよくない。・・・
市場に大きなアップサイドは見当たらないが、景気後退がないかぎり大きなダウンサイドも見当たらない。
・・・
しかし、景気後退になれば、すべてが巻き戻るだろう。」
資産クラスごとの優先順位とアドバイス
資産クラス:
「選好する順にアドバイスするなら、好きなのは割安株、1-2年の短い国債だ。
もっとも興味がないのは長期国債。」
一般投資家としてやれること:
「とても優れたストック・ピッカーを探しなさい。
ロングとショートの両方を手掛ける優れたヘッジファンドを探しなさい。
長期債には近寄るな。
1-2年の償還期限のものだけにしなさい。
・・・私は(全般に)多くは期待していない。」
投資は当たるも八卦当たらぬも八卦だが、極めて一貫した理屈を背景とした、わかりやすい投資判断と言えよう。