米財政拡大がグローバル市場の大混乱に:河野龍太郎氏

BNPパリバの河野龍太郎氏が、日米経済の停滞の本質を探っている。
その中で、安易な財政拡大のリスクについて整理している。


筆者の仮説は、90年代初頭にバブルが崩壊したから、潜在成長率や自然利子率が低下しただけではなく、80年代後半から潜在成長率や自然利子率の低下が始まっていたから、バブルが発生したという逆の因果関係も強く働いていた、というものである。

河野氏がダイヤモンド・オンラインに書いている。
バブル崩壊が潜在成長率や自然利子率の低下をもたらしたのを認めるとしても、そもそもバブル発生の一因が潜在成長率や自然利子率の低下であったという主張だ。
これがあたっているなら、バブル崩壊の後始末をしたとしても、本質的な課題が残されていてもおかしくない。
河野氏は、それが過去30年の停滞の本質だと仮説を述べている。

「早い段階から収益性の高い投資機会が枯渇し、潜在成長率や自然利子率が低下する中で、金融緩和を継続したから、行き場を失った大量の資金が資産市場に流れ込み、大規模な不動産バブルが生じた、ということだ。」

1980年代後半に見られた全要素生産性改善についても、河野氏は「バブルによるかさ上げ」と指摘している。


潜在成長率が低下し、自然利子率が低下すると、金融政策の効果が失われてしまう。
伝統的な金利による金融緩和とは、自然利子率よりも政策金利を低くすることで効果を発揮する。
政策金利に引きずられ幅広い市場金利が自然利子率より低位になれば、金融市場は緩和的となる。
ところが、自然利子率がゼロ近傍あるいはマイナスになると厄介だ。
政策金利をゼロまで下げても、緩和の度合いはほとんどなくなってしまう。
金融政策がゼロ金利制約に陥るのだ。

先進国の多くで自然利子率はマイナスに

「現在は多くの先進国で、自然利子率がマイナスの領域まで低下した可能性がある。
その一方で金融緩和が続けられていることで、行き場のなくなった資金の過剰問題、いわば金融不均衡の状況が頻発するようになっている。」

自然利子率が大きく低下している状態とは、経済が停滞している状態だ。
だから、金融政策は拡張的にせざるをえない。
つまり、自然利子率より低位に金利を誘導せざるをえない。
ほぼタダのお金が潤沢にある。
一方、自然利子率が低いということは、実体経済がお金を必要としていない状態だ。
だから、タダ同然のお金が投機に回ることになる。
不思議なことに、停滞がバブルを生んでいるようなものだ。
こうした悪循環の構図を見ると、金融政策に停滞脱出を期待するのは望み薄のように感じられてくる。

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