米財政のカウントダウン:デイビッド・ストックマン

レーガン政権で行政管理予算局長を務めたDavid Stockman氏が、トランプ政権の政策にダメを出した。
同氏は昨年、米国株市場が20-40%下げると予想したが、これまでのところ同市場は20%下落の少し手前で踏みとどまっている。


トランプは、私が1970年代から見てきた中で、経済政策において最悪の魔法薬を使ってしまった。

ストックマン氏はCNBCで、かつての主流派共和党員らしい主張を展開した。
批判の対象はたった2年でいくつも積みあがった:

  • 消費者を苦しめる貿易戦争
  • 労働者供給を妨げる移民政策
  • FRBの金融政策正常化を妨げる政治闘争
  • 国家財政を脅かす放漫財政

ストックマン氏は嘆く。

「正気の沙汰じゃない。
この政策は、すでに片足で踏みとどまっていた経済を押し倒すようなものだ。」

トランプ政権の経済政策について一定の評価を与える意見に対しても、ストックマン氏は「偏見」・「データのいいとこ取り」と厳しい。

「トランプ政権の最初の9四半期(今年の第1四半期はニューヨーク連銀予想のGDP)を見ると、平均の実質最終売上は2.52%。
オバマ政権の最後の9四半期は2.50%だった。
(景気)サイクルが長く長くなったこと以外、何も起こっていないんだ。」


景気サイクルを引き延ばす、つまり景気拡大期間を延長することに意味がないとは言えない。
景気後退が来るよりは景気拡大が続く方が国にとってはプラスだろう。
しかし、そこに代償が払われているのなら話は違ってくる。
すでに長く続いた景気拡大期をあと数年引き延ばすために財政政策をどこまで使うべきか、金融緩和をどこまで放置すべきか、それは議論のあるところであろう。
かのメイナード・ケインズでも、緊急避難的なものを除けば、次の景気後退期に備えて景気抑制的にとどめるべきと言ったのではないか。
古式ゆかしき共和党員、とりわけレーガン政権で行革を担ったストックマン氏は財政・金融政策ともにタカ派だからなおさらだ。

サイクル終期に大きなインフレ圧力が経済に加わり、中国からの輸入に12%、2,500憶ドルの関税をかけ、仮に国防に全く無関係の自動車に25%の関税をかけ、これらのお金をみんな借りるとしたら、FRBがバランスシートを縮小する中、衝突を望むようなものだ。
いつそれが起こるかはわからない。
しかし、政策が破滅を約束しているんだ。

ストックマン氏は、これを回避する策は富裕層への増税ではないときっぱり。
これも古式ゆかしき共和党らしい。
防衛費、年金、富裕層の社会保障・医療保険など無駄な支出を削減すべきという。

トランプはどれもやりたがらない。
議会共和党は無関心で、民主党は歳出を増やしたがっている。
現実は、2020年代に入り毎日1万人のベビー・ブーマーが引退するようになると、社会保障と医療保険が爆発し、ワシントンの政治家・官僚は見て見ぬふりをすることになるんだ。

笑えない話だ。
これは米国が堕落していくという暗示であるとともに、日本化していくという意味かもしれない。


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