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米株価はフェア・バリューか少し割安:バイロン・ウィーン
2019年11月28日

ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏が、超人的な精神力で米国株市場に対し(短期的)強気予想を述べている。


市場は年末まで大丈夫だろう。
みんな市場が割高になっていると文句を言うが、私の配当割引モデルでは、市場はフェア・バリューか、それより下だ。
まだ上げの余地がある。

ウィーン氏がCNBCで、米市場について短期的な強気見通しを述べている。
同氏はポイントを3つ挙げている。

  • 低金利: この低金利ならば来年の利益に対して18倍の株価は過剰ではなく、2006年・1999年とはまったく異なる。
  • 企業収益: 米GDP成長率は堅調で、企業収益もそこそこを見込める。
  • 米中摩擦: トランプ政権が自慢する部分合意については、市場は織り込み済みとなりつつある。

ウィーン氏は、現状の株価が(低金利を前提とすると)フェア・バリューより下にある可能性を述べている。
そして、その原因を市場の「懐疑心」と考えている。

「今年のパフォーマンスを考えれば、いくらか熱狂があってもいいはずだが、市場は少なくとも私が見る限り熱狂を示していない。
人々はまだ株式のミューチュアル・ファンドからお金を引き上げている。
リスクを取りすぎているヘッジ・ファンドにも目をやらない。」

10年以上続く景気拡大・強気相場にみんな危うさを感じている。
それでも、強気相場はなかなか崩れないことがある。
ジョン・テンプルトンの言葉「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、熱狂の中で死んでいく。」のとおりだ。
強気相場は死ぬどころか、まだ成熟さえしていない可能性もある。

もっとも、強気相場が永遠に続かないことはもちろんウィーン氏も心得ている。
しかし、同氏は、それでもまだしばらくは続く可能性があるという。
根拠は今回の強気相場の原動力にある。

2008年以降の市場全体の動きは、米国だけでなく世界中の金融緩和の結果だと考えている。
・・・この市場は、莫大な金額の流動性によって動かされてきた。
流動性が止まる時、投資家は心配し始めるべきだ。
しかし、流動性はまだ止まっていない。

ウィーン氏は、市場に影響する最重要の要因を中央銀行が供給する流動性だと主張する。
ネットの流動性供給はゼロにはなりうるが、まだそうなっていないという。
逆にマイナスにはならないと見ている。
だから、しばらくは低金利が続き、現状のバリュエーションが割安にさえなりうるのだ。

思えば、昨年2018年とは、流動性供給がマイナスになるのが意識された年だったとも言える。
FRBはバランスシート縮小に悪影響はないと主張していたが、そうともいえなかったようだ。
バランスシート拡大に効果があったなら、同縮小にも逆の効果があったのだ。
結果、長期金利上昇に市場はおののき、第4四半期の市場調整を迎える。
FRBはバランスシート縮小を停止し、3度にわたる利下げをした。
さらに、レポ金利急騰の後、名前を変えて事実上QEを再開した。
たしかに、流動性供給を巻き戻すどころの状況ではない。

ウィーン氏らしい強気予想のようにも思われるが、この人物の心の強さが見える意見表明でもある。
同氏は決して米経済を楽観しているわけではない。
ただ、足元のファクトを見て、感情に流されず予想を述べているのだ。
むしろ、米経済のファンダメンタルズについて、ウィーン氏は大いに憂えている。

「財政赤字は縮小すると思う人もいるだろうが、1兆ドルだ。・・・
米国のバランスシート、あるいは累積債務はジョージ・W・ブッシュ大統領が就任した2000年に6兆ドルだった。
今日では債務は22兆ドルと20年弱でほぼ4倍になっている。・・・
債務はほぼ4倍になっているのに、利払い負担は25%しか上がっていない。
これは、経済の歴史上例のないことだ。」

決して、金利低下で利払いが増えなくてよかったね、といっているわけではない。
この状況が持続可能でないと言っているのだ。
それでも、この持続不可能な状態がすぐに修正される様子はないと予想しているのである。

1%上昇するごとに利払いは2,200億ドル(約24兆円)増える計算だ。
心配するのも滑稽だ。
でも、心配は当面始まらないのだろう。

日本の場合、単純計算で1%上昇は10兆円の負担増となる。
少なくてよかった。
一般会計予算の1割でしかない。


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