米景気後退はまだまだ先:アラン・グリーンスパン

アラン・グリーンスパン元FRB議長によれば、米企業は全体としてはまだデレバレッジを進めており、景気後退を心配する段階にはないのだという。


経済は弱まっているが、まだデレバレッジの期間にある。・・・
過去半世紀で、デレバレッジの期間に景気後退が始まった例はない。

グリーンスパン氏がBloombergで、巷でくすぶる景気後退入り懸念を一蹴した。
同氏の予想は企業活動に関するある指標に基づくものだ。
それは、企業が投資に回す資金をどれだけ借りているかという指標だという。

グリーンスパン氏が注目するのは、企業設備投資とキャッシュフローだ。
設備投資が実行される時期を、企業が支出を意思決定した時点から6か月後とみなす。
企業が支出を決定した金額を、6か月後の設備投資で近似する。
その近似値をキャッシュフローで割る。

グリーンスパン氏によれば、こうして得られた「資本支出割当 対 キャッシュフロー比率」が「重要な先行指標」なのだという。
前回の景気後退期以降この比率は1を割り込んでいる。
つまり、《資本支出割当<キャッシュフロー》であるため、企業がまだネットで貸し手であることを示している。
グリーンスパン氏はこの点から「まだデレバレッジの期間」と判断しているのだ。
そして、過去半世紀デレバレッジの中で景気後退が始まった例はないと、経験則を示したのである。

長期見通しについては慎重だし、米経済は現在、年率実質GDP成長率が2%を下回っている。
しかし、経済成長が大きく鈍化したという事実はあるものの、それでも米経済が景気後退入りするようには見えない。

市場では米社債市場のリスクを心配する声が多い。
ジェフリー・ガンドラック氏やスコット・マイナード氏ら、債券市場を代表する大物が神経を尖らせている。
こうした意見とグリーンスパン氏の意見とは、事実関係からして相いれないように感じられる。
何がこの差を生んだのか。

まず第一に上がるのが母集団の違いだろう。
グリーンスパン氏の母集団は米経済であり、投資家の母集団は米社債だ。
企業の中には無借金経営のところから借金漬けのところまである。
いずれも米経済の一部となりえるが、無借金なら社債の中には入らない。
さらに社債の発行体の中でも、レバレッジの大小はまちまちだ。
後者の方が悪く見えるのは当然だ。
問題は、事態が悪くなった時どちらがその後の展開にとって重要な意味を持つかであろう。

先月までのFRBによる「保険的利下げ」については、1998年にグリーンスパン議長(当時)が行ったそれとの類似を指摘する声が多い。
今回のグリーンスパン氏の読み通りまだしばらく景気拡大が続くなら、株式相場もさらに上げる可能性が増えてくる。
もしそうなるなら、私たちは2000年のドットコム・バブルをも意識すべきとなるのだろう。


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