米政府閉鎖によって本当に失われるモノ:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、米政府閉鎖の影響について解説している。
また、先日亡くなったジャック・ボーグル氏の業績についても語っている。


「私はもっと長期で考えたいんだ。
0.13%というのは短期的な話にすぎない。」

トランプ政権の推計についてFOX Businessからコメントを求められ、シラー教授はそもそも考えるベースがずれていると返した。
トランプ大統領が国境の壁建設を巡り民主党と対立、政府閉鎖が始まってから1か月近くがたつ。
ホワイトハウスは反対勢力を脅すかのように、政府閉鎖が経済に及ぼす影響の推計を公表した。
1週長引くごとにGDPが0.13%低下するのだという。
政府閉鎖による経済悪化の責任はすべて反対勢力の責任と言いたいのだ。
しかし、シラー教授はそうしたロジック自体に乗っかるつもりがない。
驚いたことに、そのまま痴話話を始めたのだ。

「不便だ。
私は少し迷惑しているんだ。
来週ダボス会議に出席する予定なんだが、TSAが混乱すれば行けるかどうかわからない。
行くとは思うけどね。」

丁寧に言葉を選ぶ教授がこんな痴話話をしたのはなぜか。
次の一言に集約している。

短期的な影響なんて、そんなレベルの話だと思うけどね。
しかし、より長期の影響は信頼の喪失と分断の感覚であり、これは良好な事業活動を本当に阻害すると思う。
これは数字では表しにくい。

シラー教授によれば、短期的な影響は経済のどこを見るかで大きく変わるという。
影響を大きく受けているのは、例えば連邦職員らだ。
一方、米国民の大多数はまだたいした影響を受けていないという。

行動経済学、実証研究の第一人者は常に冷静に現象を見ている。
加えて温和な人柄だ。
しかし、その淡々とした語りも、トランプ大統領に対して徐々に辛辣になっている。

「結局のところ米国が偉大なのは、何世紀にもわたって私たちはお互いを信頼し、ルールの中に留まり、正直に行動してきた。
それが、現在見られる不和によってとうとう損なわれてしまった。」


話が米住宅市場に移ると、シラー教授は、現在がかなり大きなブームになっていると話した。
1942-47年、1997-2006年のブームに次いで1890年以来3番目に大きなブームだという。
このため、今後数年のうちに住宅価格は下落する可能性があるとした。
一方で、インフレ調整後の実質ベースでは住宅価格が2006年の水準まで戻っていないことから、まだしばらく下げない可能性もあると示唆した。

社会問題化している学生ローンの影響を尋ねられると、当事者にとっては大きな問題だが、住宅市場への影響はさほど大きくないという。
しかし、卒業後に重いローン負担を抱える若年層が住宅購入をあきらめる場合など、影響は皆無ではないと指摘した。

番組冒頭では、インデックス投資の父 ジャック・ボーグル氏の訃報が伝えられた。
シラー教授はボーグル氏を尊敬していると語り、お悔やみの言葉を述べている。

「彼は、誠実さこそが長い目でも見て優れた戦略であることを体現した人だった。
それは大昔、プリンストンでの学生時代までさかのぼる。
ミューチュアル・ファンドについての論文を書き、それが大衆のために役立つと説いた。
人生を通して大衆へのよりよい奉仕のために働き、最終的にとても大きな実りを結んだ。」

シラー教授は以前パッシブ投資に対して「パッシブ運用はただ乗りの擬似科学」と批判したことがある。
パッシブ投資が優れた投資成績を上げうるのは、アクティブ運用者の努力の結果、株価指数がよく分散されたポートフォリオとなるためだ。
つまり、アクティブ運用者の努力にパッシブ運用者はただ乗りしているのである。
この角度で見る限り、教授の批判は的を射ている。

そのシラー教授が、ボーグル氏の業績を高く称えている。
理由は「大衆のため」という言葉に集約されている。
さまざまな理由でアクティブ運用にうまく取り組めない人にも投資への参加を可能にした。
結果、投資の果実を一部の人に独占させるのではなく、広く大衆に分け与えたのである。
教授はその点に素直に尊敬の念を示しているのだ。


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