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米市場上場の中国株のリスク:カイル・バス
2019年10月3日

ヘイマン・キャピタルのカイル・バス氏が、米市場から中国への投資マネーについて懸念を呈した。
投資先の会計・企業統治の基準が保証されておらず、そのリスクさえ認識されていないと話した。


ナイス・トライだ。
私は米市場の中国企業をショートしたことは一度もない。
中国でも米国でも中国に対するポジションをとっていない。

バス氏がCNBCで、自身の主張がポジション・トークではないと言い切った。
同氏の目的は「米国の安全保障と投資家の資金を守ること」だという。

キャスターが、ポジション・トークではないかとの意地悪な質問をぶつけたのには理由がある。
バス氏は最近まで中国売りを仕掛けていた。
今年5月、スティーブ・バノン氏と同調する形で対中強硬策を主張する中、自身のショート・ポジションをクローズしていたのだ。
今回もポジション・トークではないかと疑われてもしかたがない。
しかし、本人の申告を信じる限り、今回はその疑いは当たらないようだ。
(もっとも、中国・米国以外で実質的に中国売りに近くなるポジションを生成することは不可能ではないかもしれない。)

アメリカ人が知っておくべきことがある。
中国は2013年に米国と特別な確認書を交わし、中国企業は米上場の際、監査を受けるかドッド・フランクに遵守するかの義務を免除されている。
つまり、中国企業に向かう米資金は、法の支配の下にない企業に向かっていることになり、中国企業は監査も受けていない。
中には詐欺のようなものを働く企業もいるかもしれない。

バス氏は、米国が中国に与えてきた優遇措置にかみついたわけだ。
なるほど正論をうまく利用している。
この議論に反論できる人は少ないだろう。
バス氏は自身の主張を詳述する。

「私たちが言っているのは、中国に資金を投じてはいけないということではない。
中国企業が(米国で)上場してはいけないということではない。」

正論を盾にジクジクとプレッシャーを与えるやり方は、輸出管理を盾に隣国に揺さぶりをかける日本政府に似ている。
国民はえげつないと思いつつ、心の中で拍手喝采するのだろう。

バス氏の主張はあくまで正論の域を外さない。
会計・企業統治の水準が保証されない投資先に米国の資金が向かうリスクを懸念している。
同氏は以前から中国に法の支配が存在しないことを警告してきた。

「私たちが言っているのは、中国企業のレベルを米国なみに引き上げるべきということだ。
そうするだけで米投資家は長い目で見て守られることになる。
これは誰かに痛みを与えようとかいう話ではない。
2013年に立ち返って国のやったことが愚かだったと認め、法の支配も会計の水準も整わないある地域への投資から米投資家・米引退世代を守らないといけないということなんだ。」

バス氏は中国をターゲットにする理由も話している。
単純に米国から巨額の資金が流れているからだ。
同氏によれば、米市場に上場する中国企業188社、中国を組み込んだインデックスに連動するファンドを通し、数兆ドルもの資金が米国から中国に流れているという。
もちろんそこには年金基金などの資金も入っている。

オバマ政権は中国に優しい政権だったから、さまざま中国に優しいルールが残っているのだろう。
オバマ政権下、米企業は安心して中国とのつながりを強くすることができた。
バス氏の本拠は(少なくとも伝統的には)共和党の強いテキサス。
そのバス氏が、民主党の強いコネチカットのファンドをチクリとやっている。

中国の投資家が米国に投資するとき、例えば、中国政府が50億ドルをブリッジウォーターに預け、10億ドルもうかったとしよう。
中国の投資家は米国では課税されない。
こうしたことは税制改正時に直していかないといけない。


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