米市場へのマイナス金利上陸は時間の問題:アラン・グリーンスパン

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、金融政策における資産効果の重要性を繰り返した。
また、米国にもマイナス金利が広まるのは時間の問題と話している。


妙なことだが(年内の米経済は)大部分米国株市場次第だ。
私たちは経済への資産効果を過小評価している。
現在のようなボラティリティの高い市場の動きにおいては、資産効果が影響を及ぼすが、私たちはそれを完全には理解しておらず、正しく計測もしていない。

グリーンスパン氏がCNBCで、資産効果を重視する考えを明確に示した。
同氏はFRB議長在任中グリーンスパン・プットと呼ばれる《市場に優しい》政策を繰り返した。
金融緩和は概して多くの人に愛されるから、在任中はマエストロと称賛された。
しかし、その後は、こうした市場支持策がその後のバブルとその崩壊を招いたとの批判が高まっている。

米国は消費主導の経済と言われる。
その消費を後押しするのが、リスク資産への配分の大きい家計による投資だ。
米家計は所得がそう大きくない層、つまり消費性向がそこそこ高い層でもリスク資産への投資に積極的だ。
だから、株が上がれば消費が増える。

グリーンスパン氏の信念は揺るがない。
この日は資産効果を重視する姿勢を示す言葉を多く発している。

「経済学の分析によれば、S&P 500の10%の上昇はGDP全体を1%上昇させる効果があるという。
これは小さな数字ではない。」

「もしも大きな株式市場の調整があれば、景気が長続きしないと感じられるようになるだろう。」

「日欧の中央銀行は困難な時を迎えるだろうが、その主因はこれまでより大きく株価が調整することだろう。」

ここまで信念をもって資産効果重視の金融政策をやっていたなら、バブルの発生は不可避だったのだろう。

では、資産効果の起点となる米国株市場の見通しはどうなのか。
グリーンスパン氏は尋ねられると《たぬき》ぶりを見せている。

「現在は、テクニカル分析で見れば市場の先行きについて少々神経質になるような時期だ。
しかし、市場は今やとても洗練されている。・・・
市場から既知でないことを見出すのは困難だ。」

マイナス金利の広がり

グリーンスパン氏は、世界中で増えているマイナス金利について原因をコメントしている。

前兆は、世界で高齢化が進み、人々がはじめ思っていたより長く生きると認識しつつあり、貯蓄を始めたことだ。

高齢化が金利低下の主因とする考え方だ。
グリーンスパン氏は、この変化が米30年債利回りに如実に表れているという。


米30年債利回り
米30年債利回り

30年債利回りは昨年11月までは上昇傾向を示したが、その後低下に転じ、7月末から急落した。
グリーンスパン氏は、これが人々のニーズの変化を表していると言う。

「元は30年債利回りは3%あたりにとどまると思われていたが、ほとんど予想していなかった低下が起こった。
人々のいわゆる時間選好に変化があったためだ。
人生が長くなり、十分に前もって今のうちに長い人生のための蓄えをしておく必要があるということになった。」

グリーンスパン氏によれば、人々はより長い安全な資産へのニーズを強めている。
それが、30年債の価格上昇(=利回り低下)なのだ。
これは最近の金価格にも表れているという。

米30年債利回り(青)と金価格(赤)
米30年債利回り(青)と金価格(赤)

「金価格が1,500ドルまで急上昇した理由の1つは、人々が20-30年後も価値を持つ、ハードな基本的に資源を求めているためだ。
年を取るにつれ、安泰な老後のために資源を持っておきたいのだ。」

グリーンスパン氏は日本を例に、人口減少と金利低下の相関は明らかと指摘する。
マイナス金利は時間の問題で米国にもやってくると言う。
同氏は、その変化の瞬間まで予想している。

基本的にアメリカ人はマイナス金利のない状態に慣れている。
しかし、人々の態度に大きな変化があれば、クーポンを求めるようになる。
その結果、受け取るネットの金利に影響を与えているという事実を無視する傾向を示すようになる。

今回の発言では、グリーンスパン氏は変化後の時間選好の持続性については言及していない。
先日の発言では、こうした変化が一過性に終わることが多いと発言していた。


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