ウォートンの魔術師ことジェレミー・シーゲル教授が、米国株市場の好材料・悪材料についてコメントしている。
「トランプ-パウエル会談があったが、それでもパウエルは今とても安心しているだろう。
彼はFOMCから支持を受け、市場からの支持を受けている。
イールド・カーブの期間構造は順ざやに戻り、いい兆候だ。
もう(市場の先行きを決める)方程式にFRBは入っていない。」
シーゲル教授がCNBCで、FRBによる今年の金融緩和に対して合格点を出した。
FRBは市場を阻害する要因でなくなった。
ならば、最大の要因は1つだ。
「市場が求めているのは貿易合意だ。
貿易合意が実現し関税が下がれば、史上最高値圏の今からでも5-10%は上がるだろう。」
シーゲル教授は従前どおり貿易合意で10%程度の上昇がありうると主張した。
この10%上昇予想はかなり長い間にわたっている。
その間、企業収益の改善ペースは鈍化し、市場は上昇したが、それでもまだ「10%」を下げていない。
シーゲル教授は、貿易合意がすでに市場に70-80%織り込まれ済みと話した点について突っ込まれている。
合意が実現しない場合の織り込み分の剥落リスクだ。
「市場がじりじり上昇し、期待を超えてしまい、25%関税が12月15日近くまでくすぶると、市場で何か失速があった時・・・
昨年のクリスマスの20%下落を思い出すと、ヒートアップしても何もいい方に向かわないと・・・
それが起こるとは思わないが、最悪のケースでは、合意を遅らせ続け、長い間それに耐えることだ。」
永遠のブルは決して下げるとは言わない。
しかし、「最悪のケース」では、株価上昇が難しくなるという。
米保守派的政治信条を持つシーゲル教授は、米国が左派政権になれば、米市場の魅力が低下しかねないと心配する。
「基本的に自由市場システムこそが長年にわたり米国の富を生んできた。
『株式投資』の初版を上梓したのが1994年。
私は米国に対し極めて強気だったし、今もそうだ。
・・・
米国の大衆は(左派の主張を)和らげてほしいと願っており、戦争やサンダースを望んではいない。」
シーゲル教授は、仮にウォーレン上院議員が勝っても、富裕税も国民皆保険も何も起こらないと予想する。
ねじれで政治は停滞するが、株式市場は最悪の事態を逃れるとの反応も多いだろうという。
米政治が潜在的悪材料なら、潜在的な好材料も見られているようだ。
米市場はかなり目いっぱいの価格がついているが、好ましいのは欧州が改善を始めたように見えることだ。
ドルはすでに上昇しそうな様子ではなくなっているが、ドル高がにならないなら・・・S&P 500企業の利益の多くが欧州など諸外国からきていることを思い出すべきだ。
日欧を見渡せば、良い市場の中でS&P 500は良い価格を実現できるはずだ。