投資

米国株へのエクスポージャーを減らせ:ロバート・シラー
2020年10月29日

ロバート・シラー教授が、株式市場のクラッシュの3要素を説明し、米国株市場の脆弱性を警告している。


低い信頼感と高い株価だけでは市場クラッシュは起こらない。
もう1つ力学が必要だ。

シラー教授がThe New York Timesへの寄稿で、市場クラッシュのレシピを解説している。

教授が2013年ノーベル経済学賞に輝いたのは資産価格の実証研究によるもの。
心理的・主観的なテーマにも可能な限り客観的な証拠を集め続けることで、ノーベル賞に値する業績を上げたのだ。
実際、株価倍率、住宅価格指数、信頼感指数と、シラー教授が設計・計算にかかわった指標の中には広く市場で用いられているものも多い。
教授はそれら指標によって足元の経済・市場環境を描写する。

  • クラッシュ信頼感指数(今後6か月のうちに1929年・1987年のようなクラッシュが起こる確率が10%未満と思う人の割合): 個人・機関投資家ともに極めて低水準。
  • バリュエーション信頼感指数(現株価を割高と考えない人の割合): 個人・機関投資家ともにリーマン危機後よりも低水準。
  • CAPEレシオ: 今より高いのは大恐慌前とドットコム・バブルだけ。

つまり、市場の先行きや株価バリュエーションについての信頼感は極端に低いのに、株価は史上屈指の高水準にあるように見えるのだ。
確かに危うい状況のように思われるが、シラー教授は、それだけではクラッシュは起こらないという。
では、あと何が加わるとクラッシュが起こってしまうのか。

現在の出来事との表面的な類似性が人々の記憶を刺激すると、人々は昔話に注意を移すようだ。
過去のクラッシュを思い出させることがあれば、心理的なリスクの感覚を生み出すことになるのかが現在の問題だ。

低い信頼感、高い株価に過去のクラッシュの記憶が加わると、市場参加者がついに逃げ始め、新たなクラッシュ発生の可能性が高まるのだ。
シラー教授は、過去のクラッシュの記憶を呼び覚ますものとして、コロナ感染の悪化、選挙の混乱などを挙げる。
(前回、選挙が大混乱したのは2000年11月。
ドットコム・バブルのピークは同年3月。
関係はなかろうが、同じ年に起きている。)
教授は、現在岐路に立っているかもしれないと書いている。
米国株市場には慎重であるべきとし、潜在的なリターンが潜在的なリスクに見合っているかを見極めるべきという。

誰も将来のことはわからないが、パンデミックと政治的分断の中で広く投資家の信頼感が失われていることを考えると、ネガティブで自己実現的な予言が栄える可能性がある。
このことは現在、資産クラス(安全な米国債を含む)をよく分散すること、米国株に過度にエクスポージャーを持たないことの重要性を強調している。


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