海外経済

米国株は流動性への感度を高めてきた:ブリッジウォーター
2021年10月28日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏は、FRBの金融政策正常化にともなう流動性の回収が米国株・米ドルに与える影響を説明している。


私たちは現状が供給ショックではなく需要ショックだと考えている。
異例の財政・金融刺激策が講じられ、それが需要を急増させた。

パターソン氏がBloombergで、足元の米インフレの性質を問い直す発言をしている。

最近こうした基本的な命題を問い直す識者が増えている。
足元のインフレが需要側から始まったのは間違いない。
パンデミックでいったん収縮した需要は、財政・金融政策や感染状況の改善により急激に回復した。
しかし、その後このインフレには供給制約によるものとの説明が加わることとなる。

海には以前より多く船があり、米国の港ではかつてない量の輸入をさばいている。
これは需要がとても強いために供給が付いていけないのだ。

必ずしもすべての財・サービスの供給が減っているわけではない。
ただ、需要増が大きすぎて、供給能力の増強がついていけない。
世の中ではこれも含めて供給制約と呼んでいるようだ。
なぜ供給制約が注目されるかといえば、これが短期的に解消しずらいこと、特に財政・金融刺激策で短期的に対処することができないことが背景にあろう。
また、供給制約が中央銀行の責任でないことも1つにあろう。

パターソン氏は、需給の不均衡について簡単な解を提示する。

「もしも望むなら、これに対する逃し弁は賃金上昇とインフレ上昇になる。
企業の決算発表で見えているのは、これまでのところほとんどの企業はそれを転嫁できている。」

価格が上昇することで需要は減少し、長期的には供給も増加するかもしれない。
もちろん、もう1つの解もあり得よう。
それは、需要増をもたらしている財政・金融政策を縮小することだ。
しかし、そうなると考える人は少ないし、ブリッジウォーターも考えていないだろう。
同社が想定する「運命」とは、行き着くところまで財政・金融政策が拡張的になるというものだからだ。
ただし、これは中長期の話だ。

もう少し短いホライズンでは、ブリッジウォーターはやや慎重な見方をしているようだ。
始まりつつあるFRBの金融政策正常化プロセスへの警戒を強めている。

米国株市場は流動性の状況に対して極めて感応度を増してきた。
私たちの推計では、およそ40%の米企業が流動性撤収に対して脆弱と思われる。
キャッシュフローが長期の、デュレーションが長い企業が主なもので、特にテクノロジーだ。

パターソン氏は、米国株市場に対して弱気ではなく積極的だという。
しかし、テクノロジー・セクターが市場に占めるウェイトは大きく、「大きな追い風がゆっくりと向かい風に変わりつつある」と話す。
この進み方がFRBの金融政策正常化によって左右されることになる。
正常化プロセスについて、市場の織り込みはFRBのほのめかしよりかなり先を行っている。
パターソン氏は、いずれが実現してもよいよう準備すべきと説いている。

織り込まれているより長く高いインフレとなるか、それともFRBが市場によるFF金利の織り込みに追いつくかだ。
だから、両方に対応できるようポートフォリオをポジショニングしている。

パターソン氏は、世間の見方と同様、インフレ・金利の上昇に脆弱なのがテクノロジー、恩恵を受けるのが金融と話す。
また、現時点では米ドルについていくつかの通貨との対比で積極的なスタンスだという。
(ブリッジウォーターは、中長期でドル安を予想してきた。)

リモートでのインタビューの途中、パターソン氏の側で電灯が消えるアクシデントがあり、その後いつになく和やかなムードになった。
キャスターたちはすかさず、レイ・ダリオ氏や会社のコスト削減によるものとチャチャを入れていたが、パターソン氏の反応は違った。

「これはわが社のサステナビリティのための努力の一環です。」


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