ブラックロック

 

米国株がアウトパフォームする本当のワケ:ブラックロック

資産運用の世界最大手ブラックロックのラス・ケストリッチ氏が、リーマン危機後の米国株のアウトパフォームについて分析している。
背景には極めて堅固な構造的な要因が存在するようだ。


2010年以降、S&P 500指数は(価格ベースにおいて)MSCI ACWI ex-U.S.指数(米以外の市場の株価指数)を平均で月70 bpと、統計的に優位な差でアウトパフォームしてきた。

ケストリッチ氏が自社ブログで書いている。
リターンが月あたりで0.70%も違うというのは相当に大きな差だ。

しかも、それ以前はさほど大きな差ではなかったという。
1990-2009年の差は平均8 bp、メジアン(中央値)で22 bpだという。
2009年は100年に1度の危機と言われたリーマン危機の直後だから、リターンの差は小さく出がちかもしれない。
ただし、メジアンについてはさほど影響を受けていないだろう。
70 bpというのは22 bpと比べると相当に大きな数字だ。

ケストリッチ氏は、米国株のアウトパフォームの原因について、突き詰めれば米上場企業の収益性にあるとし、S&P 500指数とMSCI ACWI ex-U.S.指数のROE差(S&Pの方が高い)の変化を紹介している。
・2000-09年: 1.5%ポイント
・2010年以降: 3.7%ポイント
この収益性の差が米国株のアウトパフォームを引き起こしたのだと説明する。

では、この収益性の差は何によるものなのか。
特段目新しい秘密があるわけではない。
ケストリッチ氏は、米経済の相対的に高い経済成長が相対的に高い収益性をもたらしたと説明している。


「米経済成長は危機前の通常の水準より低いとは言え、常に日欧より高成長だった。
特に名目成長率、つまりインフレ調整前の成長率では顕著だった。
高成長は高い営業レバレッジの追い風になる。」

「営業レバレッジ」とは損益に効いてくるレバレッジのことだ。
変動費が少なく固定費の多い損益計算書においては、売上高が増えると利益は急速に増える傾向にある。
これをレバレッジがかかっていると表現するわけだ。
成長率の高い経済・企業では、営業レバレッジがとても心地よく効いてくる。
高成長の米国がその恩恵を受けたという解説なのだ。

仮に営業レバレッジの高い企業が売上高減に見舞われるとどうなるか。
急速に利益の減少に見舞われることになる。

では、固定費を構成する典型的な内容とは何か。
設備や(固定的な)人件費だ。
だから、成長率が低い経済主体は設備投資も雇用も増えにくい。
設備投資が増えないなら、生産性も向上しにくい。
まさに趨勢的停滞の典型的症状を示すことになる。

ケストリッチ氏は、米経済が相対的に高成長だった理由にも言及している。

「米国はまた、テクノロジーや通信のスター企業、幅広い市場より恒常的に高収益になりやすい企業の母国となる度合いを高めている。
・・・S&P 500のトップ企業はMicrosoft、Apple、Amazonで、そのROEの平均は39%だ。
対して、欧州のトップ3はTotal、SAP、LVMHで、ROE平均は14%だ。」

この現実について考えるべきことは何か。
長い目で見れば2つあろう。

  • 米中摩擦の中核の1つがテクノロジー分野での覇権なら、この摩擦は(小康となることはあっても)長く続く。
  • 企業収益における米企業のアウトパフォームは私たちが生きている間継続するのだろうか。

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