投資

米国債は富の貯蔵庫たりえない:ブリッジウォーター
2020年8月12日

ブリッジウォーター・アソシエイツのボブ・プリンス共同CIOが、ゼロ金利・通貨安時代の新たな安全資産について語っている。


『ドル化』やドルを武器にすることは強力な手段だが、それは同時に準備通貨としてのドルにとっては逆風になる。
外国の投資家によるドル保有の阻害要因になる。・・・
外国投資家にとっての(米国債からの)乗り換え先は、(米国債が)利回り50 bpで毎日増発されているなら、ドル以外のものになる。

国債に変わる安全資産は何かとBloombergで尋ねられ、プリンス氏は外国投資家と国内投資家で分けて考えるべきと答えた。
ドルが外国通貨である外国の投資家からすれば、ドルの価値に疑問符が付き始めている時、米国債に代わる安全資産はドル以外の資産に目を向けるべきということになる。

もっとも、プリンス氏はドルの準備通貨としての地位が一晩で揺らぐなどとは考えていない。
長い期間かけて変遷していくものと考えている。

「しかし、ドルを武器にしていること、米国がウィルスとの闘いで大規模な財政赤字・貨幣発行・マネタイゼーションを用いているのを見ると・・・長期的には、ドル資産に対する利回りを極めて低くしかねないため、準備通貨としてのドルを傷つけることになる。
大量に貨幣を発行しており、他の富の貯蔵庫や通貨との比較で、法定通貨の価値を基本的に低下させるだろう。」

コロナ・ショックでデフレ的な要素も指摘される中、インフレ的なシナリオを予想することについて尋ねられると、プリンス氏は何もおかしな話ではないと答えた。
過去のデフレ期にも見られた現象だからだ。

デフレの時期にはデフレが経済に打撃を与えるため、政府・中央銀行は可能なあらゆる手段を講じ、通貨を押し下げようとする。
デフレ期には貨幣発行が行われ、インフレ率をゼロまたはプラスに戻そうとする。

振り子がデフレという極端な状況の側に振れると、金融・財政政策が総動員され、それがついには貨幣価値を損なうような結果を生み出す、というのが通例のようだ。
そうなると、弱い通貨でしかもゼロ金利の国債の利用価値は大きく低下してしまう。

では(米)国内投資家にとって、従来安全資産と考えてきた米国債に代わる資産は何が考えられるのだろう。
Bloombergは同じ問いをモハメド・エラリアン氏に尋ねている。
同氏の答は米国債・質の高い高格付債券・金を含む堅い実物資産の組み合わせと答えていた。
その中でエラリアン氏は、金と大手テクノロジー銘柄の間に共通する特徴が見受けられると指摘した。

オール・ウェザー戦略で大成功し、卓越した分散とバランシングの能力を有するブリッジウォーターの考えは、エラリアン氏の指摘を先取りしているかのようだ。
プリンス氏は「富の貯蔵庫としての株式」を構築してきたと語った。

面白い可能性だが、所得低下により経済的破壊が進む世界で、それに対処するのに十分な流動性が創出されてきた場合、流動性は富の貯蔵庫に入っていく。
富の貯蔵庫はある種の通貨、金だけでなく、ある種の株式かもしれない。
だから、株式市場をうまく使いポートフォリオをくみ上げて富の貯蔵庫にしようとするのはとても貴重なこととなろう。

従来、私たちは債券・金・現預金などを富の貯蔵庫にしてきた。
プリンス氏は、株式等、従来はリスク資産とされてきたものを富の貯蔵庫にしようとしている。
株式への選別・分散投資で価値の安定を実現できるとの自信なのだろう。

「通常、富の貯蔵庫とは富を保存しようとする戦略だが、現在の世界では過剰流動性のために富の貯蔵庫はパフォーマンスの高い資産になるだろう。
そこに流動性が向かうためだ。」

過剰流動性の世界では過去のようなリスク・オンかリスク・オフかの選択ではなくなっているのかもしれない。
株式と金がともに高値を追うのも、そういう印象を与える現象だ。
流動性が向かうものが富の貯蔵庫になりえ、流動性が向かわないものはなりえない。
なぜリスク資産なのに流動性が向かえば富の貯蔵庫になりうるのか。

莫大な流動性の創出は資産のリスク・プレミアムを低下させ、そうした資産が富の貯蔵庫として機能しうるようになっている。
所得と支出の低下による経済の破壊は、リスク・プレミアムを押し上げ、最終的にはその流動性を得なかった企業のバランスシートを破壊する。
・・・これは資産の区別であり、そこには国ごとの結果や為替レートも含まれる。


-投資
-, , , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。