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米国を待つ部分的デフォルト:ジェフリー・ガンドラック
2020年8月5日

ジェフリー・ガンドラック氏のValuetainment Economicsインタビュー第2弾: 米財政の先行きについて2つの可能性が述べられている。


ウォーレン・バフェットは『AAAAに格付すべきだった』と言ったが、それは正しい。

ガンドラック氏が、2011年の米国債格下げについて「間違い」だったと批判した。
同年8月5日、S&Pは米国の長期信用格付をAAAからAA+に引き下げた。
同社は理由として不十分な財政再建を挙げたが、米国債がAAAを失うのが初めてだったこともあり、多くの批判を浴びた。

自分が発行する通貨で返済できる債券の発行体を格下げすることには説得力がない。

ガンドラック氏は、2011年の格下げを「間違い」と批判する理由を説明した。
確かに、自国通貨建てで債務を発行する政府は、通貨を発行することで必ず債務を返済できる。
だから、格下げすべきではなかったというわけだ。

この理屈からいえば、日本をはじめ、ありとあらゆる通貨発行を行う国家の自国通貨建て債務はAAAまたはAAAAということになる。
一方で、こうした国の中にも財政が悪化し、その通貨が敬遠される国も出てくるだろう。
その場合もあくまでAAAまたはAAAAだ。
ただ、その通貨の価値が下がることで、債券保有者は回収する購買力を失うことになる。
こんな格付では何の意味があるのかとの疑問も湧いてくる。

「彼らは一線を越えた。
格付会社に期待されているのは、お金が戻ってこない確率について意見を述べることだ。
戻ってくる購買力について意見を述べることではないと思う。」

ガンドラック氏が言いたいのは、どうやら観点の切り分けを明確にすべきということのようだ。
格付とは名目ベースの回収可能性を示すものにすぎず、それとは別に通貨の増価・減価が検討されるべきという話のようだ。
これが意味するのは、ガンドラック氏の考える国債の格付がたとえAAAAであっても、安心すべき話ではないということだ。

ガンドラック氏は米国の財政問題の行き先について2つの可能性を挙げている。
まずは、通常の意味でいうところの財政再建だ。

「支払うという約束を削減すること。
これは政治的に極めて難しい。
米国には、財源のない支払の約束が154兆ドルもある。」

ガンドラック氏は、GDPの7.5倍にあたる財源の不足を解消するには、例えば75年間、税収の中からGDPの10%を取り分けておく必要があると説明する。
もちろんこの規模の緊縮を行えば「75年にわたる不況」になるだろう。
つまり、不可能だろう。

通常の意味での財政再建が不可能なら、残る選択肢は部分的デフォルトになる。
これは可能だし、すでに広く行われている。

「簡単に社会保障の一部をデフォルトできる。
(年金支給)年齢を引き上げるだけでよい。
現在の年齢から、ばかげた話をするなら、80歳にすればよい。」

制度変更でやるか、インフレでやるかは別として、国民にとって不利益変更となる変化が起これば、裏返しに政府財政は助かる。
国は借金をしても大丈夫だとか、年金制度は大丈夫だという理屈と同じことだ。
国や年金制度は大丈夫でも、しわ寄せが国民に寄っているだけにすぎない。
そして、抜本的でないやり方は、規律を緩ませ、長く心理を悪化させかねない。

これで問題は解決する。
しかし、問題が解決可能だからこそ、化学療法のようになる。
言いたいのは、結果が悪くなるのではと不安になるということだ。


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