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米国をいつ減らすの?今減らすの?:モハメド・エラリアン
2020年1月5日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、米市場に対する考え方を時間軸に沿って解説している。


「市場は効果的抑制に向かうと思う。
市場は、イランによる侵攻の歴史を目にしてきており、今回のことは米国が線を引いたと捉えている。
これらのことは、過去数年にわたる、ショックを緩和させるという条件付けを再強化するだろう。」

エラリアン氏がBloombergで、米国によるイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官の殺害についてコメントした。
米国は3日ドローンを使い、イラクの首都バグダッドの空港で同司令官の車列を空爆した。
イランは報復を予告するなど、米国・イラン間の緊張は一気に高まった。
にもかかわらず、市場の反応は限定的だった。
エラリアン氏はその理由を、市場がある程度予想していた点にあると解説したわけだ。

米国がイランの司令官を殺害するというのは、ほぼ戦争状態に近い。
にもかかわらず、米市場の反応は限定的だった。
それほど米市場には強気の風が吹いているのだろう。

エラリアン氏は、現時点の投資家の課題を代弁する。

大きな課題は、プラスの短期的な市場モメンタム 対 増加しつつある中期的な不確実性、だ。
これがすべてで、投資家はこの課題を乗り切らなければいけない。

一昨年とは打って変わって、昨年から市場は回復を始めた。
FRBの金融政策の転換がこれを先導し、第4四半期には市場心理に覆っていた雲が晴れたような感覚にさえとらわれた。

エラリアン氏は、市場が短期的なモメンタムに確信しているとする一方、中期的には地政学、経済、金融、制度、社会など幅広い領域で不確実性増大が起こりうると指摘している。
その上で、投資家は自身のポートフォリオについて2点を目指すべきという。

  • アップサイドの恩恵を受けられるようにしておくこと。
    高値圏だからといって、リスク資産への投資をやめれば、上げの恩恵は受けられなくなる。
  • ダウンサイドへの守りを固めておくこと。
    中期的には訪れるであろう市場の調整・下落において、なるべく傷が小さくすむようしておくべき。

サイクル終期、リスク資産の価格は勢いよく上がり、その後急落することがある。
この可能性に適切に準備すべきという、至極オーソドックスな考え方だ。
もちろん《頭と尻尾はくれてやれ》という考えを採り、最後のひと上げとその後の下落をやり過ごすという考え方もあろう。
しかし、そうしたある意味での消極策をエラリアン氏はチョイスしていない。
理由は述べられていないが、米強気相場とは往々にして予想をはるかに超える水準まで上がるものであるためかもしれない。

アップサイドを獲りつつダウンサイドへの守りを固めるというのは、もちろん理想論だ。
問題はそれをどうやるか。

エラリアン氏は3つのポイントを挙げている。

  • クォリティの重視、バランスシートやキャッシュフローに注目。
  • 米市場を減らしてはいけない。
  • 選別強化:「単純にインデックスを買うのには注意すべきだ。」

ここで注目すべきは2点目、米市場への強気姿勢だろう。
米市場についてはファンダメンタルズが良好ということもあるが、ここしばらく高値感も指摘されてきた。
このため、諸外国の市場への分散投資を奨める人も多かった。
米国のウェイトを減らし、外国市場のウェイトを増やすべきといった推奨だ。
特に、米国以外の経済・市場が底打ちしそうになると、こうした推奨が出されやすくなる。

エラリアン氏も外国市場への投資チャンスを語ることはあったが、それでも米市場を大きく減らせとは言わなかった。
その理由は「中期的な不確実性」への懸念だ。
同氏によれば、米市場は「他の世界が持たない力強さ・手堅さを備えて」おり、これが不確実性が増大するような状況で役に立つはずという。

いつか米市場を減らすべき時がやってくる。
とても大幅にアウトパフォームしてきたからだ。
でも、それは今じゃない。


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