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米国は75歳の帝国、5年でドル離れの可能性:レイ・ダリオ
2020年9月20日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏のあるインタビューでの発言に興味深いものが多く、重複を恐れず紹介しよう。


今後5年のうちに、これまで米国にお金を貸してきた外国人がそうしたがらなくなるかもしれない。
そして、ドルが今のように世界での買い物に受け入れられなくなるかもしれない。

ダリオ氏がMarketWatchのインタビューで、かなり差し迫った危機感を吐露している。
ドルに代わるような準備通貨が存在しない中でも、ドル離れが進みうるとの考えを示したものだ。
確かに米国のコロナ・ショック対応は金融・財政政策ともに極めて大規模だ。
短期的に巻き戻しが展望できないなら、それが暗示するのはドルの下落だろう。

「物事にはライフサイクルがある。・・・
米国は75歳の帝国で、凋落の兆候がある。
寿命を延ばしたければ明らかにやれることがあるが、それは望まれない。」

75歳という設定に、ダリオ氏の切迫した危機感が感じられる。
一方、頭のいい人は、とかく大きな変化を早く起こると予想しすぎることがあるから注意が要る。
また、日本人なら、米国が75歳なら日本は何歳だろう、と思うのではないか。
ドルの凋落が円の凋落と前後する可能性は小さくない。
なにしろ、日本はたくさんドル資産を抱え込んでいる。

私たちは今、借金を作り貨幣を印刷して富を配ることに重点を置きすぎて、生産性向上がおろそかになっている。
富とは、借金や貨幣を生み出すことで生まれるものではない。
みんなで生産性を高めなければいけない。

日本でいえば、第1・第2の矢は時間を稼ぐだけで本質的な変化は生まない。
第3の矢に注力しろ、といったところか。
日本の新内閣についての市場関係者のコメントも全く同種のものだ。
みんな口々に構造改革・成長戦略への注力を求めている。
新首相もそれを掲げているのが頼もしい。

ダリオ氏は逆に進んではいけない道を指し示す。

政府にとって最も安易な道は、米国が少し前にやったとおりで、借金し、貨幣を大量に増刷することだ。・・・
増税すれば、誰かから徴収することになり、不平が出る。
人々は債務や貨幣増刷について無関心だ。
みんなバラマキに感謝する。
『お金が必要なんだ』と言い、もらえないと怒る。

ダリオ氏は生産性を高めるための施策として、良質な投資(例えば教育投資)や機会均等な社会の実現を挙げている。
また、個人・企業・政府がバランスシートを改善するため収支に配慮するよう求めている。

ダリオ氏は投資家へのアドバイスを2点話した。
1つ目は一世を風靡した「現金はゴミ」だ。
同氏によれば、最近の金融資産の上昇は貨幣の価値の下落によるものだという。
(先々の下落を嗅ぎ取った投資家が金融資産を買った。)

「投資の価値を心配するように、貨幣の価値を心配しなさい。・・・
あなたが最も安全と考える現金こそ保有してはいけない。」

2つ目は、これもいつものとおり、分散の重要性だ。
国・通貨・資産クラスで分散するよう奨めている。

アメリカ人はすべてのものの価値を米ドル建てで見るのに、ドルの価値には注意しない。
今はそこに注意すべき環境だ。

これはまさに日本人にも言える話だ。
財産の価値を盲目的なまでに円で測りたがる日本の投資家が、円安になると喜ぶ。
なんと奇妙な話だろう。
今はまだ《リスク・オフの円高》傾向が残っているから、円資産の下げを円の上昇でいくらか相殺してくれる。
これが将来《リスク・オフの円安》にでもなれば、日本の投資家はダブル・パンチを受けることになる。


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