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米国は日本化の瀬戸際に:ローレンス・サマーズ
2020年3月13日

ローレンス・サマーズ元財務長官(元ハーバード大学学長、現教授)が、米経済の日本化について警告している。


債券市場が示しているのは、次の世代にわたってFRBが好むインフレ指標について市場が1%ぐらいしか予想していないことだ。
これが意味するのは、米国が本質的に日本と同じ場所に行き着いたということだ。

サマーズ氏がBloombergで、米経済の日本化について警鐘を鳴らした。
同氏が債券市場について言及したのは、長期債利回り・長期の物価連動債利回り・ブレークイーブンインフレ率が極めて低水準まで低下した点だ。

「物価連動債(利回り)はゼロを大きく割り込み、-1%に近づき、ゼロになった。
流動性の罠と言われる現象であり、趨勢的停滞としても知られる。
市場は十分な需要がないことを示しているんだ。」

サマーズ氏は、総需要が不足していると言いたいようだ。
もっとも、株価急落局面での債券利回りをとらえて、需要不足とまで言っていいかには疑問符がつくだろう。
確かに需要は減っているだろうが、供給もまた減っている。

サマーズ氏が判断を急ぐのは同氏の危機感の表れだろう。

日本の経験が示唆するように、欧州の経験がさらに示唆するように、ここから脱出するのはとても難しい。
米国はより大胆で実験的な手法を採用しないといけない。
特に積極的な財政政策が必要だ。

流動性の罠に陥っているなら金融政策は効かない。
だから財政政策をとなるのだ。

米国は数十年の日本化を宣告されてはいないが・・・間違いは犯せない。

なんとも皮肉な響きがある。
日本が失われた10年、20年に苦しんだ時、欧米の専門家はしたり顔で解決策を説教した。
その後、欧州が日本化し、今では米国までもが日本化の瀬戸際にいる。
彼らの説教はあまり彼らの国では有効でなかったようだ。

その米国が、今度は財政政策で事態を打開しようとしている。
しかし、思えば、これはかつての日本の得意技だった。
バブル以降の日本の債務拡大は目覚ましく、債務対GDP比率はグロスで先進国トップ、ネットでもトップ・クラスになった。
それでも日本の財政が問題化しないのは、経済がそれほど回復せず、インフレも金利も上昇しないからだ。
果たして米国はワイズ・スペンディングで(インフレ・金利上昇を招くことなく)趨勢的停滞を脱することができるだろうか。


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